マイクロソフトはなぜWindows 10にBashを載せ、Xamarinを無料で提供するのか、マイクロソフトのエバンジェリストに聞く。そしてCEOサティア・ナデラ氏が来日決定[PR]
2016年4月に開催されたマイクロソフトのイベント「Build 2016」で最大の注目を集めたのは、Windows 10でBashが使えるようになるという発表でした。
しかもUbuntuのバイナリをそのままWindowsで実行できるようにサブシステムを開発し、本物のBashを使えるようにするというのです。マイクロソフトの本気度が伝わってきます。
さらにBuild 2016ではもう1つ大きなサプライズがありました。2月に買収したばかりのXamarinをVisual Studioに統合し、無料で提供するという発表です。有料のEnterprise版やProfessional版だけでなく、無料版(注1)のVisual Studio Community Editionにまで統合され、それまで数十万円のライセンス費用がかかっていたXamarinがその日から無料で提供されるようになりました。
これにより、Visual Studioを利用するあらゆるデベロッパーが一夜にして、Windows、iOS、Androidのマルチプラットフォームに対応したアプリケーションの統合開発環境を手にしたことになります。
Windowsをさまざまなプラットフォームの開発者のホームにする
なぜマイクロソフトはこれほど大胆な動きに出るのでしょうか? 「Buildの基調講演の中で、Windowsがマルチプラットフォームの開発者にとってのホームになる、というスライドがありました」と、Buildを振り返るのは、日本マイクロソフトのエバンジェリスト井上章氏。
「さまざまなプラットフォームの開発者のホームにWindowsがなるために、そこに足りないものがあればそれを実現できるようにしていきましょうと。その大きな要素の1つがBashでした」(井上章氏)
エバンジェリストの高橋忍氏が発言を補足します。「例えばJavaの開発者の方々からは、Windowsを使いたくてもちゃんと使えるシェルがないからMacを使っている、という声がありました。そういった声に応えるために、表面的にシェルを移植するのではなく、本物のシェルをWindowsで動かすようにしたのです。ちなみに、キーノートではEmacsを動かしていましたが、もちろんviも動きますよ」
井上氏の発言にあった「Windowsがさまざまなプラットフォームの開発者にとってのホームになる」というマイクロソフトの宣言は、XamarinをVisual Studioに統合するという発表にも通じています。
すべての開発者のためのVisual Studioへ
Visual StudioとXamarinの統合により、Visual StudioはWindows、iOS、Androidなどに対応したネイティブアプリケーションを開発できるようになります。
井上氏はこれで「.NETをベースにしたアプリケーション開発が一気に広がりを見せてくると思います。将来的にはLinuxなども含めてコアライブラリが統合されていくのではないでしょうか」と、見通しを語ります。
つまり、共通のコアライブラリを使いロジック部分もコードを共通化でき、ユーザーインターフェイスなどプラットフォーム固有の開発部分だけをXamarinやWindows Formなどを使い分けることで、いまよりずっと効率的かつ容易にWindows、iOS、Android、そしてLinuxやMac、クラウドまで含めたさまざまなアプリケーションが開発できるようになると考えられます。
Visual StudioではLinuxやRaspberry Piなどへの対応も強化されたと井上氏。「Linux向けのC++の開発もできるようになり、Raspberry Piをターゲットにしたビルド、デプロイやリモートデバッグもできるようになりました」
Windows 10がさまざまなプラットフォームの開発者のためのホームを目指して強化されていくように、Visual StudioもWindowsだけにとどまらず、iOS、Android、Mac、そしてLinuxやRaspberry Piのようなデバイスも含めた、あらゆるソフトウェア開発者のための開発環境へ向かっていることは明らかです。
クラウドにおいても選択と柔軟性が柱に
そしてその方向性は、マイクロソフトにとっての大きな柱となったクラウドでも同じだと、もう1人のエバンジェリスト、井上大輔氏は語ります。
「今回のBuildでも強調されたように、Microsoft Azureの3本柱の1つが『Choice+Flexibility』(選択と柔軟性)で、さまざまなOS、プログラミング言語、フレームワーク、デバイスの好きなものを選んで、どんなエンジニアの方にも使ってもらえるように、という方向性を表明しています」
Windows OS、開発ツール、そしてクラウドのすべてが、あらゆるソフトウェア開発者のための環境を提供するというマイクロソフトの方向性を明確に示しています。
そこで大きな役割を果たしているのがオープンソース、例えばLinuxやLinuxでよく使われるプログラミング言語、フレームワーク、開発ツールなどとの連係や親和性であることも明らかです。いまや多くの開発者がオープンソースを活用しているのですから。
オープンソースを含むすべてのITエンジニアのためのイベント
そしてマイクロソフトが5月24日と25日の2日間、都内で開催予定の開発者向けイベント「de:code 2016」でも、オープンソースやIoTなどさまざまなプラットフォームのソフトウェア開発者やITエンジニアのためのイベントを行うという方針が貫かれています。
スペシャルプログラムとして、Jenkinsの開発者 川口耕介氏、HashiCorp CEO Mitchelll Hashimoto氏、Chef バイスプレジデント James Casey氏、Rubyの生みの親であるまつもとゆきひろ氏など、オープンソース関連の著名人が数多く登壇。彼らの話を直接聞くことができます。
de:code 2016は日本マイクロソフトが開発者向けに企画する同社最大級の有償イベントです(ちなみに日本オリジナルのイベントです)。
目的意識を持った参加者が集まる有償イベントだからこそ実現できる、開発者のスキルとキャリアにとって有意義なテクニカルセッションが、オープンソースとマイクロソフトテクノロジーの両方にわたって行われるだけでなく、スピーカーと参加者が議論を行うチョークトークやパーティもあります。
そしてマイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏の来日が決定しました。就任以来、マイクロソフトをいまの姿へと大きく変えてきた同氏の話を、基調講演で聞くことができます。
de:code 2016では、きっとこれからの仕事において、個人の能力において、大きく踏み出すための新しい発見があるはずです。
de:codeに行けない方へグッドニュース!
5月24日、25日に「channel 9」にて基調講演と一部の注目セッションをライブ配信します。来日した大物スピーカーのインタビューも聞けるかもしれません。ご期待ください。
(注1)Visual Studio Community Editionの対象は、個人開発者、学習、学術調査目的の開発者、オープンソース開発者、およびPCが250台未満の中小規模の企業や団体で5名まで
(本記事は日本マイクロソフト提供のタイアップ記事です)
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