VMware、x86サーバを束ねて仮想ストレージを構築する「Virtual SAN 6.2」リリース。ハイパーコンバージドインフラストラクチャ市場へソフトウェアでアプローチ
VMwareは、ストレージ内蔵のx86サーバを複数台束ねて仮想的な1台の共有ストレージアレイを構築できるソフトウェアの新版「Virtual SAN 6.2」を発表しました。
VMwareはこのソフトウェアを「Next-Generation Hyper-Converged Software」(次世代のハイパーコンバージドソフトウェア)の1つと位置づけています。
いま仮想化の市場では「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ」が急速な成長を見せています。そしてこれから1年以内に、このハイパーコンバージドインフラストラクチャはプライベートクラウド基盤としても存在感を見せ始めるでしょう。
ハイパーコンバージドインフラストラクチャとは、ストレージ内蔵のx86サーバをネットワークでつなげていくことでスケーラブルな仮想化基盤を構築できるアプライアンス製品。従来の共有ストレージを用いる仮想化基盤よりもシンプルかつスケーラブルなのが特徴です。
スケーラブルな仮想ストレージソフトウェアが欠かせなかった
ハイパーコンバージドインフラストラクチャを実現するには、スケーラブルで強力な仮想ストレージの構築を実現するソフトウェアが欠かせません。Virtual SAN 6.2はそのための機能強化が行われました。
そしてVMwareは、「vSphere」「vCenter Server」、そして「Virtual SAN」の3つの組み合わせを、ハイパーコンバージドインフラストラクチャを実現するソフトウェアとして位置づけたことも今回発表しました。
このソフトウェアをさまざまなベンダのx86サーバにインストールすれば、ハイパーコンバージドインフラストラクチャが実現する、というのです。
いまハイパーコンバージドインフラストラクチャの市場をリードしているのは新興ベンダのNutanixです。同社製品や現在市場にあるハイパーコンバージドインフラストラクチャ製品のほとんどは、あらかじめハードウェアとソフトウェアが一体化したアプライアンスとして提供されています。
VMwareはその基盤となるソフトウェアを提供することで、さまざまなベンダのx86サーバをハイパーコンバージドインフラストラクチャへと転換できるようにします。同社のハードウェアパートナー企業は、これにより自社サーバをハイパーコンバージドインフラ製品として販売可能になるわけです。
VMwareはコンバージドインフラストラクチャでもそうだったように、パートナーとの組み合わせによる製品ラインナップを広げることで、市場における優位性を実現する戦略をとったと考えられます。
しかしコンバージドインフラストラクチャ市場では同社はVCEの提供により先手をとっていましたが、ハイパーコンバージドインフラストラクチャ市場では競合を追いかける立場とみられています。これをひっくりかえすために、これからパートナー企業とともに大胆な製品展開をしてくるのではないでしょうか。
Virtual SAN 6.2の新機能
Virtual SAN 6.2の主な新機能は次の通りです。
- 重複排除と圧縮機能によるストレージ容量の効率的な利用
- イレイジャーコーディングによるデータの冗長化
- QoSによる仮想マシンごとのIOPS性能の管理とノイジーネイバーの分離
- モニタリング機能の強化
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