VMwareパット・ゲルシンガーCEO来日。日本市場の特殊性ゆえに日本のクラウド戦略ではパートナーを重視
VMwareは、11月8日に都内で開催される「vFORUM 2016 TOKYO」に合わせて来日したパット・ゲルシンガーCEOの記者会見を開催。ゲルシンガー氏は、日本国内におけるクラウド戦略ではパートナーとの連係を重視することを表明しました。
クラウドは新しいハードウェアだ
ゲルシンガーCEOは、クラウドが「新しいハードウェア」として登場しており、顧客はサーバを仮想化することでハードウェアの自由を得たように、クラウドの自由を求めていると指摘。
VMwareはそうした責任を背負っている情報部門に対してクラウドの自由を実現しつつセキュリティなどのコントロールも実現するツールを提供するとして、「Cross-Cloud Architecture」を中心とした同社のクロスクラウド戦略を推進していくと説明しました。
ゲルシンガーCEOに続いて、VMware日本法人の代表取締役社長ジョン・ロバートソン氏は、日本はSIerなどによるITのアウトソーシングの歴史が長く、クラウドにおいてもパートナーがエンタープライズの要求とパブリッククラウドのメリットを同時に実現できている点に日本市場の特殊性があると説明します。
VMwareが認識する「日本市場の特殊性」とは
VMwareは今年の4月「日本市場の特殊性を鑑み、国内においては、vCloud Air Networkモデルに限定してサービスを提供することに決定しました」と、日本の特殊性を理由に同社が提供していたIaaS型クラウドサービスのvCloud Airを終了し、パートナー制度であるvCloud Air Networkに限定してサービスを提供するとました。
この特殊性とは、今回ロバートソン氏が説明した、アウトソーシングの歴史が長く、クラウドにおいてもクラウドの利点を活かしつつエンタープライズの要求に応えるデータセンター事業者やSIerが多数存在することだとロバートソン氏。
それゆえに日本市場では同社ソフトウェアを基盤にクラウドサービスを提供するパートナーである、vCloud Air Networkに限定して注力することを選択したとゲルシンガー氏は説明します。
同社はクラウドにおけるパートナー制度である「vCloud Air Network」の代表的なパートナーとして、IIJ、NTTコミュニケーションズ、ソフトバンク、ニフティクラウド、IBM、富士通を紹介しました。
VMwareはエンタープライズビジネスのためのインフラソフトウェア企業である
VMwareはどういう企業像を目指すのか、という質問に対してゲルシンガーCEOは次のように答えています。
「われわれはアプリケーションカンパニーではなく、ハードウェアカンパニーでもなく、コンシューマ向けのカンパニーでもない。エンタープライズビジネスのための、あらゆるクラウドに対応したアプリケーションを実現するインフラソフトウェア企業だ」(ゲルシンガーCEO)
ゲルシンガーCEOはあらためてVMwareはソフトウェア企業であることを強調しましたが、そこには暗に既存のクラウドベンダーと競合する路線はとらないとの考えがにじんでいたように思います。
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