マイクロソフト、Skypeをピアツーピアからクラウドベースのアーキテクチャへ移行中。数カ月以内に完了予定
2002年に登場したSkypeは、面倒な設定をすることなくインターネットを通じて世界中のどこからでも高品質な音声通話ができる事実上初めてのソフトウェアとして、非常に大きなインパクトをもって受け入れられました。
インターネットに接続すれば無料で通話できるSkypeは、電話会社による音声通話のビジネス、特に国際通話のビジネスを崩壊させると言われたものです。
そのSkpyeの最大の特徴は、中央に大きなサーバを置いてユーザーや通信などを集中管理することがシステム構築の常識だった時代に、インターネット上に散らばるサーバを相互に接続して分散管理するピアツーピアのアーキテクチャを採用したことにあります。
ピアツーピアのアーキテクチャが、インターネットワイドで何万人ものユーザーが利用する大規模システムを支えることができるのだ、ということを証明したことも、Skypeのもうひとつのインパクトだったと言えます。
しかしそのSkypeがもうすぐ、ピアツーピアのアーキテクチャからクラウドベースのアーキテクチャへの移行を終えようとしていると、マイクロソフトがSkypeブログへ投稿した記事「Skype – the journey we’ve been on」で次のように報告しています。
Recently, we have been focused on transitioning Skype from peer-to-peer to a modern, mobile friendly cloud architecture.
このところ、私たちはSkypeをピアツーピアからモダンでモバイルフレンドリーなクラウドアーキテクチャへの移行にフォーカスしてきました。
移行の理由は、さまざまな新機能を追加するためとのこと。
By moving to the cloud we have been able to significantly improve existing features like file sharing and video messaging, and launch new features like mobile group video calling, Skype Translator and Skype Bots to name just a few.
クラウドへの移行によって、ファイル共有やビデオメッセージングといった既存の機能を大幅に改善し、例えばモバイルグループビデオ通話、Skype翻訳、Skype Botsなどの新機能を提供できるようになりました。
2011年にSkypeを買収したマイクロソフトは現在「Conversation Canvas」(対話のキャンバス)と称して、人間と機械の対話をユーザーインターフェイスの新しい切り口にすべく、Cortanaのような機械学習や人工知能の技術、Botフレームワークなどの分野に注力をしています。
その対話のプラットフォームとしてSkypeも重要な位置にあります。Skypeのクラウドベースへの移行は、そうした強化と拡張性を考えると必然なのかもしれません。
この移行は数カ月で終わるとのこと。
So much hard work has already been done and we expect it to be completed in the coming months.
多くの作業は既に終わっており、移行は数カ月以内に完了する見通しです。
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