「NetSuiteは永遠に続く」。オラクルが買収したNetSuiteは、グローバル化とバーティカルマーケットへの展開を推進
「NetSuiteのすべての方々、お客様、パートナー、従業員のみなさん。ようこそオラクルファミリーへ」(米オラクルSVP Rod Johnson氏)。
米オラクルは買収が完了したクラウドERPベンダのNetSuiteについて、今後の戦略を発表するオンラインイベントを11月30日(日本時間12月1日早朝)に開催しました。
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イベント冒頭では、米オラクルSVP Rod Johnson氏と元NetSuite Exective Vice Presidentで現オラクル NetSuite Global Business UnitのJason Maynard氏の二人が登場。Rod Johnson氏が前述の歓迎の言葉をMaynard氏にかけると、Maynard氏は「このファミリーの一部となるのはSuper Excitedだ」と返しました。
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NetSuiteはクラウド戦略のカギとなる
二人に続いて登場したのが米オラクルCEO Mark Hurd氏。「NetSuite製品は永遠に続く。私たちはNetSuite製品を続けていくだけでなく、そこに投資をしていく」と、オラクルによる買収後もNetSuiteの提供を継続していくことを明言。
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そして、オラクルのSaaSとNetSuiteは補完関係にあり、オラクルのクラウドプラットフォームとNetSuiteの統合は、同社のビジネスをより強力なものにしていくとしました。
Mark Hurd氏の言葉通り、NetSuiteはクラウドERPとして中堅中小企業に強いサービスであり、一方のオラクルは大企業に強い製品群を揃えているため、両者は十分な補完関係にあるといえます。「NetSuiteは、スタートアップからもっとも大きな規模の企業までをカバーするわれわれのクラウド戦略全体にとってカギとなるものだ」(Mark Hurd氏)
グローバル展開とバーティカルマーケット展開を加速
オラクルに買収された後のNetSuiteは、オラクルの一部門であるNetSuite Global Business Unitとなります。Mark Hurd氏は壇上にこの部門を統括する元NetSuite会長のJim McGeever氏を呼び寄せます。
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Jim McGeever氏は、グローバル企業であるオラクルに買収されたことを活かし、NetSuiteのグローバル展開を加速していくことを表明。
同社はこれまで米国と欧州に合わせて5カ所しかデータセンターを持っていませんでしたが、今後は19カ国に展開しているオラクルのデータセンターを活用していくこと、さらにオラクルのグローバルな拠点を活かしてセールスチーム、サービスチームもグローバル展開しつつ、NetSuiteのサービス自身も各国版へのローカライズを積極的に進めていくとしました。
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例えば現時点でNetSuiteには英語版と日本語版しかありませんが、欧州各国の言語対応なども視野に入れているとのこと。
グローバル展開に加え、すでに多業種へ展開しているオラクルのERPなどのノウハウを活かし、NetSuiteでも小売りなどさまざまなバーティカル市場向けの展開も進め、またオラクルのクラウドとの統合も進めていくとしました。
NetSuite創業者でCTOのEvan Goldberg氏も、今後の開発方針として国際化とバーティカルマーケットへの展開を強調しました。
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オラクルはクラウド戦略へ大きく舵をきったとはいえ、まだAWSやマイクロソフト、Googleなどと比べるとその存在感は大きくありません。そうしたなかで純粋にクラウド企業として起業し、成長してきたNetSuiteを買収することは、オラクルの社内にクラウドのカルチャーとテクノロジーをもたらすものになるはずですし、今回の買収にはそうした期待が込められているはずです。
果たしてNetSuiteの買収はその期待通り、オラクルがクラウド市場でも大きな存在感を持つ企業へと押し上げることにつながっていくでしょうか?
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