米国外のデータセンターに保存されたメールは、米政府に提出する必要なし。マイクロソフトが控訴審で勝訴
米連邦控訴裁判所は7月14日、マイクロソフトの訴えを認め、米国外のデータセンターにあるデータに対しては、米国の捜査令状による捜査権は及ばないという判決を下しました。
マイクロソフトはこの勝訴を受けて声明「Our search warrant case: An important decision for people everywhere」(捜査令状に関する裁判:あらゆる人々にとって重要な判決)を発表しています。その一部を引用します。
It makes clear that the U.S. Congress did not give the U.S. government the authority to use search warrants unilaterally to reach beyond U.S. borders.
米議会は米政府に対し、捜査令状が一方的に国境を越えられるような権限を与えていない、ということが明確になりました。
マイクロソフトは、個人情報はそれが属する国の法律に従うべきと主張しており、それが認められた形になります。
第一審では敗訴していたマイクロソフト
この裁判はもともと、2013年12月に米当局が薬物捜査の一環として、ダブリンに住む個人のメールの提出を捜査令状に基づきマイクロソフトに要請し、マイクロソフトがそのメールが米国外であるアイルランドのデータセンターにあることを理由に拒否したことから始まりました。
2014年8月の第一審ではマイクロソフトが敗訴しましたが、その判決に従わなかったことから法廷侮辱罪に問われ、そこから控訴していたもの。
もしも米国外にあるデータセンターにまで米国政府の捜査権が及ぶとしたら、米国に本社を置くクラウドベンダにとって困った事態になったと同時に、そのデータセンターが置かれている国の政府にとっても国内のデータに対して米国の捜査権が及ぶという事態になるわけで、とても受け入れがたいものとなったはずです。
今回の判決はマイクロソフトだけでなく、米国に本社を置く多くのクラウドベンダにとっても胸をなで下ろすものだったといえるでしょう。
米国の連邦裁判は三審制で、控訴審は第二審にあたります。もしかしたら第三審にあたる連邦最高裁判所での裁判が行われるかもしれません。
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