Movable Typeを開発するシックス・アパート、経営陣と従業員の持ち株会社が全株式を取得。独立した企業として再出発
Movable Typeは2000年代にはじまるブログブームの火付け役として登場したCMS(コンテンツマネジメントシステム)です。そのMovable Typeを開発する企業「シックス・アパート」は7月4日、経営陣と従業員が立ち上げた持ち株会社が親会社であるインフォコムから自社の株式を全株取得し、新体制となったことを発表しました。

シックス・アパートはもともと、Movable Typeを開発したベン・トロット、ミナ・トロット夫妻によって2001年に米国で創業された企業です。2002年にブログメディアとして登場したGizmodoや、2003年に登場したブログ検索エンジンのTechnoratiなどとともに、初期のブログブームを牽引する企業の1つでした。
その後同社は多くの企業を買収、2010年には米ビデオエッグ社と合併して米SAYメディアとなります。
一方、同社の日本法人であるシックス・アパートは2003年に設立。2011年にはこの日本法人の全株式をインフォコムが買い取って同社の子会社となると同時に、米SAYメディアが保有するMovable Typeの知的財産権やSix Apartの商標権などを日本法人が買い取ります。これによりMovable Typeは日本法人が開発するソフトウェアとなりました。
その同社が今回、経営陣と従業員が立ち上げた持ち株会社による株式取得(EBO:エンプロイー・バイアウト)で独立した企業になったわけです。その理由はプレスリリースで次のように説明されています。
今回、インフォコム株式会社の支援の下、EBOの実施により、経営、組織をスリム化し、より迅速な意思決定と製品開発を実現することで、Movable Type 6 の発表以降、売上の伸びが続いているソフトウェア版、セキュリティ対策やメンテナンス性の良さで急速に伸びているクラウド版の成長をより促進するほか、サービス型CMSである MovableType.net の機能強化や海外展開を進めます。
WordPressの普及やさまざまなブログサービスの登場によって、Movable Typeは特に米国での存在感が低下していることは否定できません。クラウド版やサービスの強化によって、またかつての存在感を示せることを期待します。
ちなみにPublickeyのCMSも、静的生成による負荷への体制やメンテナンス性の高さからMovable Typeを利用しています。今後の発展を期待しています。
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