マイクロソフトが「Linuxとクラウド」を活用してもらうために取り組んでいること。日本マイクロソフトのオープンソースエバンジェリストに聞く[PR]
マイクロソフトがオープンソースに積極的に取り組んでいるというイメージは、この1年ほどですっかり定着したものになろうとしています。
しかしなぜ、マイクロソフトはLinuxやオープンソースに力を入れているのか、しかもそれをなぜクラウドで展開しようとしているのでしょうか。日本マイクロソフトのクラウド&エンタープライズビジネス本部で「OSSエバンジェリスト」の肩書きを持つ新井真一郎氏に聞きました。
マイクロソフトがオープンソースを重視する理由
──── マイクロソフトはなぜクラウドとオープンソースを重要視しているのでしょう?
新井氏 いまマイクロソフトは、ソフトウェアのメーカーからクラウドのサービスプロバイダへ変わろうと、全社で取り組んでいます。しかも「世界一オープンなクラウドベンダになりたい」という思いがあります。
例えば、昨年からは「Microsoft Loves Linux」という意思表示もしていますし、Dockerについては開発コミュニティにも参加しています。.NETも4月にオープンソース化を発表、Cloud Foundryの正式サポートも開始しました。
なぜクラウドとオープンソースなのかと言えば、現在、業務システムの環境にはオープンソースを含む非常にたくさんの選択肢があり、実際に使われています。もはや一社の製品だけで提供するソリューションでは、お客様に望まれるシステムを作るのは難しいと考えているからです。
このヘテロジニアスな環境をクラウドへも展開していきたい、多くのお客様はそう考えているのだと理解しています。
Azureで仮想マシンの4分の1はLinuxが稼働している
新井氏 実はすでに、現時点でMicrosoft Azureで稼働している仮想マシンの約4分の1はLinuxが稼働しているのです。私たちのクラウドは、安心してLinuxを稼働していただける実績を備えていると思います。
──── どのような分野でオープンソースソフトウェアを活用しようと考えているのでしょうか?
新井氏 おもに4つの分野で考えています。1つ目は「次世代アーキテクチャ」ということで、Dockerコンテナへの注力です。
2つ目は「マネージドサービス」。例えばすでに、「HDInsight」という名称でHadoopのマネージドサービスを提供しています。運用までクラウドにまかせたい、というお客様に、マイクロソフト自身がマネージドサービスを提供するだけでなく、ミラクル・リナックス社のようなパートナーと一緒にマネージドサービスを提供することもあります。
3つ目は「DevOps」です。デプロイなどの自動化ツールだけでなく、GitHubのような開発支援ツールとも連係し、AzureポータルでGitHubのコードを引っ張ってきてデプロイするような仕組みもあります。
4つ目はIoTです。特にIoTの基盤としてのクラウドサービスに力を入れていきます。
Linux環境を評価し、まったくWindowsを使わないお客様もいる
──── 実際にMicrosoft AzureでLinuxを使っているのはどのようなユーザーなのでしょう。
新井氏 スケーラビリティの観点でAzureを選び、Windowsはまったく使っていないお客様の事例があります。Linuxの上にPython、MySQL、Hadoopでシステムを構築されています。
このお客様はAzureについて、オープンソースソフトウェアを使う上で癖がなく、移植が容易なのは長期的に考えてロックインされにくいと評価いただいています。
早稲田大学も、Azureの上でLinuxとWordPressを運営されています。今回はIaaSとして利用されていますが、AzureにはPaaSとしての機能が提供されているのも魅力とおっしゃっていて、将来的にはPaaSの機能を活用する可能性も検討されるとのことです。
パートナーと一緒にオープンソースソフトウェアに取り組んでいく
──── マイクロソフトにはLinuxの知見や経験といったものは十分に備わっているのでしょうか?
新井氏 マイクロソフトにとってクラウドはパートナーと一緒に伸ばしていくビジネスモデルですので、Linuxをはじめとするオープンソースソフトウェアの活用でも同じモデルで取り組んでいます。
例えばミラクル・リナックス社とも一緒にクラウドでのビジネスを行っており、システム構築前のプルーフ・オブ・コンセプトやフィージビリティスタディの実施、クラウドに適したシステム設計、構築、運用などを協力してやっています。自社でカーネルのソースコードまで解析する高い技術力を備えたパートナーとの協業には、今後オープンなクラウドを実現する上でとても期待しているところです。
ミラクル・リナックス社が提供しているエンタープライズLinuxの「Asianux」は、非常に高い信頼性が求められるシステムでよく使われていると理解しています。この高い信頼性と、日本国内で、ダンプファイルの解析まで対応可能なミラクル・リナックス社によるきめ細かいサポートが提供できることを組み合わせると、Azure上でも重要なシステムの構築が実現できると期待しています。
国内でサポートされ、社会インフラや公共インフラに強いAsianux
新井氏 AsianuxはすでにAzureのマーケットプレイスに組み込まれていますので、ユーザー自身が仮想マシンにインストールすることなく、適切にインストールされた仮想マシンのイメージをすぐにクラウドで利用できるようになっていることも、利用者にとって便利な点だと思います。
──── クラウドでLinuxなどを企業へ展開していく上での課題は?
新井氏 Linuxやオープンソースを日本の企業が活用してくには、やはりパートナーがカギを握っていると思います。そういう意味で、パートナーとの協業には引き続き力を入れていきたいと考えています。
マイクロソフトは、マイクロソフトテクノロジーの分野でのパートナーモデルは確立してきましたが、Linuxなどオープンソースにおけるパートナーモデルはこれから確立に向けて進めていきます。
特に、ミラクル・リナックス社はソフトバンク・テクノロジー社と協業でAzureにおけるマネージドサービスの提供もされています。こうしたマネージドサービスを提供するパートナーはさらに充実させていきたいところです。
また、ミラクル・リナックス社は社会的インフラや公共インフラ向けのシステムに強いと理解しています。そうしたお客様にクラウドを提供していくことにマイクロソフトとしても協力していけたらと考えています。
──── ありがとうございました。
(本記事はミラクル・リナックス社の提供によるタイアップ記事です)
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