オラクル、次期Java EEはマイクロサービスやコンテナをサポートするものになるとコメント。9月のJavaOneで計画を発表予定。ただし本気度には疑問符も
オラクルはJava EEの開発について関心を失っているのではないかと懸念する有志が「Java EE Guadians」という活動を6月に開始し、Java EEの開発が停滞しないようにオラクルに訴えています。
この懸念を裏付けるように、7月1日にArs Technicaは「How Oracle’s business as usual is threatening to kill Java」と題した記事で、OracleがJava EEの開発から手を引く可能性があることを指摘しました。
こうしたなか、7月7日付けのThe Registerは、この懸念に対するオラクル広報担当からのコメントとしてJava EEの次期バージョンとなるJava EE 8の明確な計画をオラクルは持っており、マイクロサービスやコンテナ対応になることを記事「Oracle says it is 'committed' to Java EE 8 – amid claims it quietly axed future development • The Register」で紹介しています。
この記事に掲載されたコメントと同じものが、Ars Technicaの7月8日付の記事「Not dead yet: Oracle promises big plans for Java EE」でもオラクル広報担当からのメールとして紹介されました。
両方の記事に掲載されたオラクル広報担当からのコメントを引用しましょう。
Oracle is committed to Java and has a very well defined proposal for the next version of the Java EE specification—Java EE 8—that will support developers are as they seek to build new applications that are designed using micro-services on large-scale distributed computing and container-based environments on the Cloud. Oracle is working closely with key partners in the Java community to finalize the proposal and will share the full details with the broader Java community at JavaOne in September.
オラクルはJavaにコミットしており、次期Java EE-Java EE 8-仕様についての十分に練られた提案も用意している。これはデベロッパーが新しいアプリケーション開発において模索しようとしている大規模分散環境におけるマイクロサービスに対応し、またクラウドにおいてコンテナ環境にも対応するものだ。オラクルはこの提案を完成させるためにJavaコミュニティにおけるキーパーとナーと密接に協力しており、9月のJavaOneで広くJavaコミュニティと共有するつもりだ。
オラクルに対する懸念を表明したJava EE Guardiansは、2つの記事で示されたこの声明を取り上げ、「オラクルからのタイムリーな返答に感謝したい」とした上で、
Hopefully the forward plans for Java EE will be developed collaboratively through the JCP and with direct community input.
Java EEの将来計画についてはJCPやコミュニティからの直接のインプットなどにより協力的に開発されるようにと願っている。
と、コミュニティとの連係を念押ししています。また、オラクルからのコメントは上記の2つのメディアに対して個別に示されただけで、オラクルが自身のサイトでは公表されていない模様で、このコメントがどこまでオラクルの本気度を示すものなのか、まだ一抹の不安が残ります。
Publickeyは日本でのJavaのキーパーソン数人にこの件について話をする機会がありましたが、みなさん「コメントが出たことは良いことだが、まだ安心できない。9月のJavaOneでの発表を待ちたい」と、いまのところ慎重な姿勢をとったままでした。
Java EE 8はもともと2016年後半に登場予定でしたが、現在は延期され2017年に登場予定となっています。
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