サーバの電源が失われてもメモリの内容は失わない、HPEが不揮発性メモリ「HPE 8GB NVDIMM」搭載の第9世代ProLiant発表
電源が落ちればメモリの内容は失われる。これは従来のコンピュータでは避けられません。そのため、失われると困る大事なデータはすべて永続的レイヤ、すなわちストレージに保存する必要がありました。
例えばデータベース処理を高速に行うためにデータをメモリに置くインメモリデータベースでも、万が一の時にトランザクションの内容を失わないように、つねにログをストレージに保存し続けています。
しかしストレージへの書き込みはメモリへの書き込みに比べて遅く、一般には処理時間にして数万倍から数百万倍も時間がかかるため、ストレージへの書き込み速度が全体の速度を制約しがちです。
もしも電源が落ちてもメインメモリの内容が失われないことが保証されるのであれば、いちいちストレージへデータを書き込む必要がなくなります。するとこれまでデータを失わないために行われていたさまざまなストレージへの保存処理が不要となり、多くの処理が高速化されることでしょう。と同時に、データベースやアプリケーションの構造にも大きな変化が訪れるでしょう。
NVDIMM-N準拠のメモリモジュール搭載
米ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)が発表したx86サーバ、第9世代の「ProLiant」(ProLiant Gen9)は、電源が失われてもメインメモリの内容は失われない新しいメモリモジュール「HPE 8GB NVDIMM」が搭載されます。
「HPE 8GB NVDIMM」は、DIMMスロットに不揮発性メモリを搭載するために新しく策定された標準仕様「NVDIMM-N」に準拠したメモリモジュールです。
NVDIMM-Nでは、モジュールは同容量のDRAMとフラッシュメモリを備えます。通常動作時は普通のDRAMモジュールとして振る舞い、電源が失われるとDRAMの内容をフラッシュメモリにデータを転送します。そして電源が復活すると、フラッシュメモリの内容をDRAMに転送してから動作が開始されます。
これによってNVDIMM-Nは、サーバの電源が失われてもメインメモリの内容が保持されていたかのように見えるわけです。
ProLiant Gen9では、電源喪失時にDRAMからフラッシュメモリへデータ転送を行うための電源供給用バッテリとして「HPE Smart Storage Battery」を搭載、最大で16枚のNVDMMモジュールをサポートします。
HPE Persistent Memory
HPEはこれにより、データベースにおけるログの書き込み性能で最大2倍の性能向上がはかれるとしています。
こうした不揮発性メモリの仕組みをサーバに取り込む一連の技術をHPEは「HPE Persistent Memory」(HPE永続的メモリ)と呼び、今後さらに対応製品を増やしていくとともに、OSやアプリケーションのベンダにも対応を働き掛けていく取り組みを進めるとのことです。
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