鉱山のトラックにシスコのルータ搭載、センサーで堤防の異常を検知、Hadoopの分散処理基盤を支える製品とソリューション群とは[PR]
ビッグデータの分散処理基盤として注目されているHadoopの主要ベンダであるClouderaのイベント「Cloudera World Tokyo 2015」が11月10日に都内で開催されました。
このCloudera Worldにおいて、ビッグデータ向けのインフラを提供するシスコシステムズと、ソリューションの構築から運用サービスまでを提供する伊藤忠テクノサイエンスが合同で、ビッグデータとInternet of Things(IoT)への取り組みを示したセッションを行っています。
いま実現可能なビッグデータへの取り組みとは、どのようなものなのでしょうか。
モノだけでなく、人々もプロセスもインターネットでつなぐ
セッションに登壇したシスコシステムズ コンサルティング システムズエンジニアの坂本公洋氏は、シスコが示す「Internet Everything」(IoE)の意味から解説を始めます。
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「シスコでは、モノだけでなく、人々、プロセス、データもそこに入れて、モノだけでなく、インターネットで全部をつなげて便利にしましょうという、「IoT」よりも広い意味を指す『Internet of Everything』(IoE)という言葉を使っています」
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坂本氏が指摘するのは、IoEでは膨大なデータをただ集めるだけでは意味がなく、統合し、分析して活用することで価値が生じるということ。そのためのシステム構築において役立つさまざまな製品やソリューションをシスコは提供していると。
「工場や車両、店舗、屋外などのさまざまな現場にセンサーとネットワーク機器を設置し、データを収集するケースでは、シスコはデータセンターに使われるだけでなく、振動や湿度、埃などに強い産業用のルータやスイッチも用意しています。
また、データセンターの基盤となるUCSサーバ、そしてネットワーク機器はもちろん、データを仮想統合する、データ仮想化の技術も新しく投入しました」
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シスコは国内製造業向けにIoEソリューションとして、生産効率の向上や品質の安定化、そして安全管理や技術継承などに向けた提案をしています。これには例えばクラウドによる稼働監視、生産管理から予兆検知、予防保守、リモート診断/解析、自動復旧などを含んだものです。
鉱山で稼働するトラックにシスコのルータを搭載
続いて、IoEを活用した海外の事例が紹介されました。
1つはオランダの堤防監視プロジェクト。オランダは海面より低い土地が多いため、堤防の監視は市民の安全にとって重要です。堤防にはセンサーが埋め込まれてわずかな動きも検出し、つねに異常がないかが監視されています。そのセンサーネットワークに採用されているのがシスコの機器。
また、鉱山で稼働している大型トラックにはシスコのルータが搭載され、稼働状況を監視するネットワークに接続。トラックの燃料消費を調べたところ、頻繁に発生する14分以下の短アイドル時における燃料消費の割合が最も多いことが判明。燃料費の無駄の削減につながったとのこと。
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こうしたビッグデータのインフラ構築からHadoopのような分析のためのミドルウェア、そしてソリューションを構築するパートナーまでをシスコはエコシステムとして提供しています。
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「パッケージングされたUCSサーバ群、ネットワーク機器、そしてClouderaをはじめ、Hortonworks、MapRもシスコが再販します。
ビッグデータのインフラは規模が大きくなりますが、それをシンプルに管理できるのがUCSサーバとUCS Directorのような管理ツールであり、さらにネットワークではACI(Application Centric Infrastructure)という自動化機能もあり、連係させることでさらに強力な管理ができます」(坂本氏)
サーバの管理からHadoopの管理運用までの自動化が統合的に行える「UCS Director Express for Big Data」を提供していることも、同社ビッグデータインフラの優れた点と言えます。
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データサイエンティストがいなくても多様なデータ分析を可能に
シスコと長年のパートナーシップを築きつつIoEやビッグデータのソリューションを提供しているのが、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)です。
伊藤忠テクノソリューションズ ビッグデータ基盤技術推進課主任 布施鎮氏が講演を引き継ぎました。
CTCは、例えばすでにエネルギー関連データを中心にした統合クラウドサービスを実現しています。例えば、いわゆるスマートホームと呼ばれる、各家庭の電力利用状況をきめ細かくモニタリングするサービスなどが可能。
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このモニタリング機能では1分単位で細かい状況が把握可能で、これまでの電力量計と比べて飛躍的にきめ細かいデータが捕捉できます。
電力に限らず、こうしたきめ細かいデータが取得できたとしても、それを分析する能力が事業者側に備わっていなければ、需要予測などの分析に基づいたビジネスの改善や新サービスの創造に結びつくことはありません。
CTCでは、Hadoopに対応した分析ツールのSASを採用し、データサイエンティストのような専門家でなくとも多面的に高度な分析を行えるシステムを、シスコのビッグデータ向けインフラ、Hadoopなどと組み合わせて提供。お客様のニーズをヒアリングするアセスメントフェーズから、設計、構築、そして運用までトータルにサービス提供しています。
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大規模分散処理による地理空間情報のソリューション
Cloudera Worldの展示会場では、講演で登壇したCTCとシスコが共同ブースも出展。シスコによるビッグデータインフラ基盤とCTCによるソリューションサービスを来場者に紹介していました。
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展示ブースにはUCSサーバが持ち込まれ、サーバの起動からHadoopの導入、運用管理といった作業を統合かつ分かりやすく自動化し、効率的な導入から運用までを支援する「UCS Director」をデモ。グラフィカルな画面によるクラスタサーバに対するオーケストレーションの使いやすさを来場者にアピールします。
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そのUCSサーバとHadoopを基盤としたソリューションの例として示されたのが、地理データなどの解析を行うEsri社の「ArcGIS」のデモです。
今後、モバイルデバイスや自動車のような移動体に搭載されたセンサー、地理的に分散されたセンサー群などから、膨大な空間情報が集められることが予想されます。ArcGISはそれをスケールアウト可能なHadoopの分散処理能力によって高速化処理し、ビジュアルに表現する能力を備えています。
デモでは、マンハッタンにおける特定の時刻に絞り込んだ情報だけを浮かび上がらせることで、多くの情報に埋もれがちな情報をフィルタリングするなど、シスコのUCSサーバ、Hadoop、ArcGISによるデータ可視化の可能性を示しました。
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両社のデモンストレーションは、ビッグデータのビジネス利用が将来の構想ではなく、すでに現実のソリューションとして現時点で実現可能なものであることを来場者に訴えたものだったと言えるでしょう。
(本記事はシスコシステムズ提供のタイアップ記事です)
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