メモリ操作のスピードでメモリもネットワークもGPUもFPGAもCPUも接続する高速インターコネクト「Gen-Z Consortium」発足。AMD、ARM、DELL EMC、HPE、Broadcomなど
つい3日前に新しい新インターコネクト「OpenCAPI」を推進する「OpenCAPI Consortium」の発表を記事で紹介したばかりですが、これとは別にまた新しい高速インターコネクト「Gen-Z」を推進する団体が発足しました。
それが「Gen-Z Consortium」です。
Gen-Zは以下の3つの特長を備えています。
高帯域幅・低遅延
メモリーセマンティックに基づいてシンプル化したインターフェースは、帯域幅を毎秒数十GBから数百GBまで拡張でき、load-to-useのメモリー遅延が100ナノ秒未満。
先進的なワークロードとテクノロジー
リアルタイム分析やインメモリーアプリケーションのために、スケーラブルなメモリープールとリソースによるデータセントリック名コンピューティングを実現。メモリとストレージの新しい革新を加速する。
互換性と経済性
OSなどの変更を必要としない高いソフトウェア互換性。高機能でラックスケールのインターコネクトのためのシンプルで抵コストな接続性
こうした特長を実現する技術として採用されているのが「Memory-Semantic Fabric」と呼ばれる技術です。これはインターコネクトにおけるすべての通信をメモリ操作的に行うというもの。プロセッサとメモリのあいだだけでなく、FPGAやGPU、ネットワークI/Oなどの通信もすべてこの方法で行います。
メモリ操作はプロセッサにとって高速なやりとりに最適化されているため、マイクロ秒以下のレイテンシを実現できると説明されています。
いま、ストレージクラスメモリと呼ばれる、不揮発性メモリの技術を用いてストレージのような大きな容量を持ちつつメモリのように高速にアクセス可能な新しい形のメモリが登場しようとしています。Gen-Zはこうしたコンピュータの革新に対応していくためのものとのこと。
コンピュータのアーキテクチャが新しい時代を迎える
Gen-Z ConsortiumとOpenCAPIはいずれも、ストレージクラスメモリやGPUコンピューティング、FPGAなどの普及を見据え、より広帯域で低テイテンシなインターコネクトの実現を目指しています。ある意味で競争関係にあると言えそうです。
一方でGen-Z Consortiumに参加しているAMDやIBM、DELL EMC、HPE、Xilinxなどは、OpenCAPIにも重複して参加しています。となると、2つの団体はどちらも排他的なものでなく、それぞれの技術を発展させることで健全な競争をしていくものと考えられそうです。
ただ、OpenCAPIのほうはPOWER9プロセッサの色が濃い面が見受けられるため、対応するプロセッサの違いによって棲み分けていくのかもしれません。
ムーアの法則に限界が見え始め、プロセッサやコンピュータのアーキテクチャが新しい時代を迎えようとさまざまな模索が始まっています。新しいインターコネクトを提唱する団体がほぼ同時に2つも立ち上がったのもこうした模索の1つなのでしょう。
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