Facebook、テレコム業界をクラウド事業者へと転換する「Telecom Infra Project」発表。インテル、ドイツテレコム、SKテレコム、ノキアなどが賛同
Facebookは、テレコム業界向けにオープンなハードウェアで通信インフラを構築するための取り組み「Telecom Infra Project」を発表しました。
Facebookはすでに、オープンなサーバやネットワークスイッチなどを構築する「Open Compute Project」を主導しています。今回のTelecom Infra Projectは、このOpen Compute Projectによるハードウェアをキャリアの通信インフラとして活用することで、コストの削減や最新技術の迅速な導入といったことを目指します。
下記はFacebookの発表文から。
Today we announced the Telecom Infra Project (TIP), an engineering-focused initiative that will drive the development of next-generation open components and reimagine ways of building and deploying telecom network infrastructure.
本日、Telecom Infra Project(TIP)を発表します。これはエンジニアリングにフォーカスした取り組みであり、次世代のオープンなコンポーネントの開発とテレコムネットワークインフラの構築の再発明を加速するものです。
IT業界はかつて汎用機を中心としたハードウェアによるシステム構築が行われてきた時代から、業界標準のオープンなサーバやネットワークを中心にシステム構築をする時代へと移行したことで、サーバ、ネットワーク、ストレージなどの急速な価格低下と広範囲の技術革新を実現してきました。
テレコム業界でも交換機を中心としたシステム構築からオープンなハードウェアへと移行することで、似たような効果を得ることを目指すのがこのプロジェクトの目的といえます。
Facebookも発表文で、次のようにその期待を示しています。
In 2010 at Facebook we had 1 Gbps links to each server with 2 Gbps of bandwidth per rack of 40 servers. Later this year we expect to deploy 25 Gbps links to each server and 400 Gbps of bandwidth per rack. This dramatic change has made an impact on the way we design almost all of our services and allowed us to realize large cost savings while simplifying the components involved in web service, storage, and databases.
2010年、Facebookではサーバあたり1Gbps、40サーバのラックあたり2Gbpsの帯域幅で結んでいました。しかし今年の後半には、サーバあたり25Gbps、ラックあたり400Gbpsの帯域幅での接続を見込んでいます。このような劇的な変化は、私たちのほとんどすべてのサービス設計に影響し、Webサービスやストレージやデータベースと言ったコンポーネントをシンプルにすることが大幅なコスト削減に結びつくことに気付かせてくれました。
As more mobile operators move more of their infrastructure into larger data centers and deploy the newest optical technologies widely, we should see opportunities to level off or reduce spend while greatly increasing capacity.
モバイル事業者においても、その基盤を大規模なデータセンターへ移行し、最新の光技術を大幅に取り入れることで、大幅な容量増加や支出の削減の機会を得られることでしょう。
今すでに起きていることですが、これは通信サービスを提供するキャリアが、これからその基盤をいまAmazonクラウドやMicrosoft Azureが備えているようなオープンなサーバとネットワークによって構成されるものと同じ構造になることを加速するものです。キャリアは本質的には通信サービスを中心に提供するクラウド事業者へと転換していくことになるのでしょう。
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