Dockerが「InfraKit」をオープンソースで公開。Docker用のクラウド環境を自動構築、自動修復
Dockerは、クラウドやオンプレミスにおけるDockerの環境を自動的に構築し、運用中に障害が発生しても自動修復してくれるツール「InfraKit」をオープンソースで公開しました。
ブログ「Introducing InfraKit, an open source toolkit for creating and managing declarative, self-healing infrastructure」では、InfraKitを次のように説明しています。
InfraKit breaks infrastructure automation down into simple, pluggable components for declarative infrastructure state, active monitoring and automatic reconciliation of that state.
InfraKitはインフラの自動化をシンプルにするものであり、インフラの状態を宣言し、アクティブモニタリングと自動調整機能を果たすプラガブルなコンポーネントなどから構成される。
同社は今年の6月に、AmazonクラウドやAzureでのDocker環境の構築を自動化するツール「Docker for AWS」「Docker for Azure」をベータ版として発表しています。今回オープンソース化が発表されたInfraKitは、これらの発展系といえます。
Amazonクラウドやマイクロソフト、Googleなどクラウド各社は、他社よりより優れたDocker環境を提供しようとそれぞれ独自にDocker環境のための機能を提供しています。しかしこれによってクラウドごとの設定方法やインスタンスが落ちた場合の復旧手順などがクラウドごとにばらばらになっているのが現状です。
InfraKitはこうしたクラウドごと、環境ごとに異なるDocker環境の構築と運用の自動化と共通化をすることで、Dockerの導入と運用を容易にしてしまおうというもの。さまざまな環境に対応するため、プラガブルな構造になっています。
これは差別化による優位性を実現しようとするクラウドベンダーに対して、クラウド基盤の差別化を吸収し抽象化して共通化してしまおうというDocker側の試みといえます。
Dockerはこれまでずっと、OSの違いやネットワークの違い、クラウドインフラなど、Dockerのレイヤから下を積極的に抽象化し、共通化と自動化を進める姿勢を貫いています。
マイクロソフトと協業でWindows版Dockerに積極的に対応したのも、Docker CloudとDocker Datacenterでクラウドやオンプレミスの違いを吸収してコンテナのライフサイクルを共通化したのもこの姿勢の表れであり、同社はいま、WindowsとLinuxに両対応するDockerイメージの開発にも取り組んでいます。これもOSの違いをDockerで吸収してしまおうという取り組みの具体例と言えるでしょう。クラウドを抽象化してしまうInfraKitも、その同じ延長線上にあるように見えます。
InfraKitは将来、Docker Engineの一部として取り込まれることもブログで明らかにされています。すべてのインフラはDockerのレイヤで抽象化され自動化されていくことになるのでしょうか。
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