シスコ、「Cisco HyperFlex Systems」発表。ハイパーコンバージドインフラストラクチャ市場へ参入
米シスコシステムズは、ノードを追加することでサーバとストレージがスケールアウトで拡張していく仮想化基盤、いわゆるハイパーコンバージドインフラストラクチャのシステム「Cisco HyperFlex Systems」を発表しました。
従来の仮想化基盤では、サーバの増減によりコンピュート性能の拡大縮小は比較的容易でしたが、仮想化基盤全体で共有する1つのストレージアレイに対して性能や容量を迅速に拡大縮小することは容易ではありませんでした。
ハイパーコンバージドインフラストラクチャでは、それぞれのサーバに内蔵されたストレージをソフトウェアで束ねて仮想共有ストレージアレイとすることで、サーバの増減と同様にストレージの性能の拡大縮小にも柔軟性と迅速性を実現したものです。
このカテゴリでは現在は新興企業のNutanixがリードしていると見られており、VMware、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、EMC傘下のVCE、レノボなどがすでに参入を発表。そしてシスコも今回の製品発表により参入することとなりました。
VMware環境に対応、豊富なストレージ管理機能
現時点での「Cisco HyperFlex Systems」では、VMwareのESXiハイパーバイザをサポート。それぞれのノードごとのハイパーバイザで、仮想ストレージを構築するための「Data Platform Controller」が稼働し、ストレージへの書き込みを制御します。
このData Platform Controllerが、仮想マシンから受け取ったデータをローカルストレージとリモートストレージへ3重にデータ書き込みを行うなどして、データの冗長性と分散ストレージなどを実現します。
ストレージからデータを読み込む際にも、ローカルになければ自動的にリモートへ参照しに行くことで、分散したストレージを1つの仮想共有ストレージとして仮想マシンに透過的に見せる仕組みです。
こうした基本的な仮想共有ストレージアレイの仕組みは、どのハイパーコンバージドインフラストラクチャでも同様です。
シスコではこのストレージ層を「HyperFlex HX Data Platform」と呼び、デデュープ、圧縮、レプリケーション、シンプロビジョニング、スナップショットなどのデータ管理機能や、メモリキャッシュ、SSD、HDDの自動階層化などの機能を備えています。
各サーバはシスコのスイッチを利用して10Gbpsのイーサネットで接続。シスコのSoftware-Defined Network技術であるACI(Application Centric Infrastructure)がストレージネットワークまで拡張され、全体を管理します。
Cisco HyperFlex Systemsでは、3種類のハードウェアが発表されました。写真上から、1ノードあたり2プロセッサ、最大7TBストレージの高密度ノード「HyperFlex HX220c」、1ノードあたり2プロセッサ、最大29TBストレージの大容量ノード「HyperFlex HX240c」、そしてコンピュートとストレージをそれぞれ柔軟に増減できる「HyperFlex HX240c M4 Nodes with Cisco UCS B200 Blade Servers」です。
シスコは今後、ほかの仮想環境やベアメタル、コンテナなどもサポートするとしています。
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