基幹業務がクラウドへ上がれば周辺のソリューションもクラウドへ上げやすくなる。SAP ERPのクラウドインテグレーション専業ベンダ「BeeX」をテラスカイが立ち上げ
「それなりの規模の企業ならばSAPの導入で10億、20億とかかることもある。それがクラウドに上がれば周囲のソリューションもクラウドに上げやすくなる。その市場規模はものすごく大きい」
SAP業務アプリケーションのクラウド化を専業とする新会社「BeeX」の設立を発表したテラスカイ代表取締役社長 佐藤秀哉氏は、記者発表の場で基幹業務のクラウド化の意義と市場規模についてこう答えました。佐藤氏はBeeXの社長も兼任します。
BeeX副社長 CTOの広木太(ひろきまさる)氏は、「高止まりした運用保守料金に、チケット制などでクラウドのような従量課金を取り入れていきたい」と、基幹業務のクラウド化だけでなく運用フェーズの価格体系にもクラウド的な考え方を持ち込みたい考えを明かしました。
SAPの業務アプリケーションのクラウド化専業「BeeX」
新会社BeeXは、SAPの業務アプリケーションをクラウド化することに特化した、クラウドインテグレータ。特にインフラ領域に特化することで、既存のSAP関連の業務コンサルタント、アプリケーション開発などのパートナーと連携することを意図。
業務アプリケーションのクラウドマイグレーションだけでなく、テラスカイと資本提携しているサーバーワークスのクラウド自動化ツール「Cloud Automator」を活用した運用の自動化や可視化、テラスカイ傘下のクラウド専業の運用保守サポートベンダ「スカイ365」による24時間365日の運用保守サービスなども提供。
「クラウドには日進月歩で新機能が入るので、それを取捨選択して、入れていくいかないの判断や提案をして、継続的にシステムをお守りをするだけでなくアクティブなかたちでの運用保守をしていく」(広木氏)
「テラスカイグループで基盤から運用までを一気通貫したサービスを実現する」(佐藤社長)
AWSが主戦場になる
クラウドマイグレーション対象となるシステムはSAP ERPやS4/HANAなど。移行先のクラウドは「AWSが主戦場になると考えている」(佐藤社長)としながらも、Microsoft Azureなどほかのクラウドでもお客様の要望に応じるとのこと。
基幹業務のクラウドマイグレーションでは、オンプレミスで使われるような高性能な共有ストレージアレイがクラウドでは使えないため、その代替措置や、クラウドの構造に対応した可用性のためのアーキテクチャ設計、仮想マシンでの安定的な性能の確保など、オンプレミスでのシステム構築とは異なるノウハウが求められます。
「実際に基幹業務をクラウド化しているのは国内で40社程度だと思うが、その半分弱を広木を中心としたBeeXのスタッフが手掛けてきた、世界的に見ても稀有なチームだと思っている」(佐藤社長)
BeeXは2020年までに国内SAP導入会社の約2000社のうち、約半分が基盤を刷新予定で、その半分の約500社がパブリッククラウドへ移行すると想定。この市場を取りに行くとしています。
BeeXの正式な設立日は3月1日。20人程度の陣容でスタートし、初年度1億5000万円の売り上げを目指すとのこと。
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