開発現場を「自動化」する仕事は儲かるのか? 自動化を仕事にするには~自動化の現場の真実(後編)。システムテスト自動化カンファレンス 2015
テスト自動化研究が主催するイベント「システムテスト自動化カンファレンス 2015」が、2015年12月13日に、六本木のヤフー株式会社で開催されました。
午前中に行われたセッション「自動家は見た~自動化の現場の真実~」には関西のコミュニティ「おいしが」のメンバーが登壇。テストを含む開発環境を自動化しようとしてきたエンジニアの、現場での苦悩と苦労をリアルに紹介しています。
その内容を前編、中編、後編の3本の記事にまとめました。この記事は後編です。
自動家の時給は1360円?
ふたたび壇上に三浦氏。
ここからは「自動化を仕事にするには」という話をします。これも架空の又聞きエピソードをつぎはぎしたものです(笑)。
自動家を標榜するK氏が、ビルドパイプラインを作る、という仕事をしましたと。こんな風に。わりとありふれたパイプラインを作りました。
でも、このオレンジの分野は未知の分野だったので対応に手こずりましたと。
これを作って稼いだお金を、かかった時間で割ると、時給1363円でした。
ええええ?(笑い)
とりあえず「調べ物」や「勉強」してた時間を抜いて、作るのにかかった正味の時間で割ってみると。2500円。
これは妥当なんかな? いろいろ考えます。
みんな自動家なら「なんぼもらう?」、みんななら自動家に「なんぼ払う?」あとでこっそり教えてください。
自動化したビルドパイプラインの価値は?
でも、ものの価値は人によって変わるものだったりします。
お客さんサイドから見ると、この自動化したビルドパイプラインは、「しゃかりき働いてくれるしソース品質が底上げされるやん!」「ノーメンテでこんなに働いてくれるなんて、いい買い物したなあ」と思ってくれるお客さんもいるでしょう。
一方、「しょぼい。こんなの本見れば俺でも作れる」「ちょっと変えようとしただけで壊れるし、お金の割には効果なさ過ぎ」というお客様もいらっしゃるでしょう。
会場のみなさま、いかがですか?
自動家は何を売るべきなのか
さて、自動家は「自動化」の何を売りものにするのでしょう、という話。
おそらく、自動化に関して「売る」ものって、「自動化された物体」「技術」「文化」「人」あたりだと思うのですが、先ほどの「ビルドパイプラインを作る」の例で売ったものってなんだったんですかね。
「人」は売ってますし「自動化された物体」も売りましたと。
こういう商売も悪くはないですが、でもそれだとまたお客のひとことでつぶれてしまうかもしれない。
言葉は悪いですが、俺たちは「自動化屋」じゃねえんだと。
で、本当に売るべきもの、浸透させたい、価値を感じてほしいのは「技術」と「文化」です。応用が利いて、人が変わっても残るものですね。
すると自動家が目指すもの、自動化を仕事にするには……
技術を磨き、採算性を見て、お客の「これは買いたい」という要望を理解し、己の自動化の「何を売っている」のかを自覚したうえで、技術や文化を買っていただけるように目指す。
目指しますが、むずかしいです。
自動家を増やそう! 現場の当たり前にしよう!
で、自動化が好きと公言してますと、いろんなところから相談がきます。
例えば、「社内スタンプラリーお遍路」みたいなのに旅立つ、そんな開発現場。
本業ではない「内線番号の手配」に仕事の大部分を割いているインフラチーム。
「役員クラス以上が見られる進捗閲覧システム」に食わすため、WBS用Excelを書いている、そんな開発会社。
OSS使用の認可がつぶされるため、「テスト自動化の道具を印刷して自前で再現」してる、そんな開発チーム。
そんなことが、この世に存在するのがいやなんです、僕は。でも、なんとかしたい。でも自分は一人しかいない。
それに、そういう現場に自動化する人がいないとか、外に自動化できる人がいてもお金がなくて依頼されないのも問題。
そこで自動家を増やそう、現場に一人はいるのが当たり前にしよう!
そうすれば、そういう現場にも自然発生的に自動家が現れるようになるかもしれないし、外の自動家に依頼するのもカジュアルに行われるようになるかもしれません。
なので、みなさま、自動家になってください。そして仲間を増やしてください。
(会場からの拍手)
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