Coregaなどを展開するアライドテレシス、企業の継続に重要な不確実性が認められると報告。平成27年度12月期決算短信で
個人や企業向けのネットワーク機器などを展開するアライドテレシスは2月29日、昨年度の決算である「平成27年度12月期決算短信」に、企業の継続に不確実性が認められるとの記載を追記したと発表しました(PDF)。
「平成27年度12月期決算短信」は2月18日に発表され、その時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断されていたものの、財務諸表の監査手続きが終了したのにあわせて判断が変更されました。
継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる
同社の平成27年度の決算は、売上高283億6100万円、営業利益がマイナス25億2700万円、経常利益がマイナス26億8000万円。営業利益は3年連続マイナス、経常利益は2年連続のマイナスとなりました。
こうした不振に対して2月18日に発表された当初の決算短信では、収益力の向上を目指して製品ラインナップの拡充、ブランド力の強化、材料調達費の削減や主要取引銀行の支援による事業資金の安定確保などの見通しが説明された上で、不確実性は認められないと記載されていました。
現在、これらの対応策を進めているため、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
しかし2月29日の発表で次のように訂正され、継続の不確実性などが追加されています。
現在、これらの対応策を進めておりますが、効果が現れるまで時間がかかるものや実施途上の対応策もあります。当社グループにおける今後の売上高及び利益の回復は、経済環境の影響も受けることから、計画通りに効果が出ない、あるいは計画通りに進捗しない可能性があります。また、主要銀行からの継続的支援に関しましても、現時点では詳細が決定しておりません。したがって現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
不確実性に対して経営陣は楽観視しているようだ
同社が公開している財務資料によると、2011年度に300億円を超えていた売り上げは2015年度には283億円となり、この売り上げの減少が昨年度のマイナス25億円という営業利益に響いているようです。
ただし2012年度も売上高が300億円を切っていましたが、営業利益は昨年度ほど落ちていません。この3年で社内的にも切り詰めが厳しくなってきているのかもしれません。
昨年度の売上高減少に対して同社は人件費の削減などの対応をしたものの、為替変動による研究開発費の増加が大部分を打ち消した形になったと説明しています。
こうした状況に対し同社は、製品の拡充や拡販、付加価値サービス、パートナー企業の新規開拓などによって売上高を回復する方向性を打ち出しています。下記は平成27年度12月期決算説明会の資料から。
この決算説明会資料は2月29日の訂正前に作られたものですので、当然ながら不確実性に対する対処は含まれていません。それを考慮しつつ見る必要がありますが、短期的なコスト削減は優先的な取り組みとはなっておらず、おそらく経営陣としては不確実性については大きなリストラなどをせずとも乗り越えられると考えており(だからこそ当初は決算短信にも記載がなかったのでしょう)、主に長期的に製品力と営業力などに注力することで回復を目指すと読み取れます。
アライドテレシスは個人向けブランド「Corega」で個人向けのネットワーク機器を展開し、また中規模小規模向けネットワーク機器でも同社名ブランドでよく知られています。
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