[速報]欧SAP、R/3後継となる次期ERP「SAP S/4HANA」発表。HANAインメモリデータベース専用に新規開発

2015年2月4日

「R/3発表以来の23年のSAPの歴史の中で、おそらく最も大きな製品の発表となるだろう」、欧SAPのCEO Bill McDermott氏は、R/3後継となる「SAP Business Suite 4 SAP HANA」(SAP S/4HANA)のオンライン発表イベントの冒頭でこのように発言し、今回の新製品発表の重要さを示しました。

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S/4HANAの開発の中心となったのは、同社の会長で共同創業者でもあるHasso Plattner氏。

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同氏によるS/4HANAの説明を中心にまとめました。

S/4HANAパブリッククラウドエディション

S/4HANAは、同社のフラッグシップである統合業務アプリケーションソフトのR/3やSAP ERPの後継となるソフトウェア。

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S/4HANAは、インメモリデータベースのHANA専用として開発された。5年前にマイケル・ストーンブレイカー氏は講演で「SAPは400ミリオンものコードを新たに書き換えることなどできはしない。彼らはいずれ死にゆくだろう」と言っていた。しかしわれわれはそれをやってのけた。

「S/4HANA」のパブリッククラウドエディション。これは22種類すべての業種をカバーするものではない、銀行やヘルスケアといった、現時点ではクラウドを優先しない業種もあるからだ。

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新しいデータモデル、新しいUX、新しいコンフィグレーションの3つが特長となる、まったく新しいシステムだ。

(スライド右の「Key Benefits」)

  • Built on HANA
  • New Fiori for any device
  • Guided Configuration
  • Subscription
  • 1/10 of datafootprint
  • 3-7x higher throupt
  • Up to 1800X faster analytics
  • ERP、CRM、SRM、SCM、PLM in one system
  • No locking parallelism for throuput
  • Actual data(25%) and historycal(75%)
  • Unlimited workload capacity
  • Predict, recommend, simulate
  • HCP extensions
  • HANA multitenancy
  • All data: social, text, geo, graph, processing

(日本語にしたもの)

  • HANA上に構築
  • Fiori(HTML5によるUI)であらゆるデバイスに対応
  • ガイド付きコンフィグレーション
  • サブスクリプション
  • データ量は従来の10分の1
  • スループットは従来の3~7倍
  • データ分析速度は最大1800倍
  • ERP、CRM、SRM、SCM、PLMなどが1つのシステムに
  • 並列処理でのロックは発生せず高スループット
  • 25%のアクチュアルデータと75%のヒストリカルデータに分離
  • ワークロードの上限なし
  • 予測、レコメンド、シミュレーション機能
  • HCP拡張
  • HANAマルチテナンシー
  • ソーシャル、テキスト、地理、グラフ情報など全て処理可能

HTML5をベースとしたUI、

ビル(SAP CEOのBill McDermott氏)は、SAPの最大の弱点はUIだと言ったが、一方で多数のユーザーがUIを変えないでくれと私たちに訴えていた。何千人ものユーザーを再トレーニングしなければならず、変化を恐れているためだ。

これにSAPがどう対応するのか、それがこの答えだ。新しい「FioriUI」は、デスクトップ、モバイル、タブレットなどのすべてに対応する(新野注:Fiori UIとは、HTML5をベースに開発されたUIフレームワーク)。

シンプルなデータモデルによってデータの大きさが10分の1になった。

システムを小さくできたため、ERP、CRM、SRM、SCM、PLMなどを1つのシステムに統合できた。例えば、多くの業務システムの負荷の40%はERPからCRMへデータ交換するために費やされていると言われているが、1つのシステムにすることでそうした負荷を排除できる。

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先進的なシステムのカスタマイズを採用した。「ノンタッチアプローチ」というオリジナルのシステムには手を加えずに、分離されたシステムによって規律のある手法で行う。これによって、オリジナルのスタンダードシステムは従来の18カ月ごとよりも迅速に四半期ごとに行う予定だ。

S/4HANAマネージドクラウド、オンプレミス

S/4 HANA Managed Cloud Editionは、クラウドの一部としてではなく顧客と一緒に運用を行っていく。

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(スライド右下「all this plus...」)

+ECC6.0 Compatibility

  • UX
  • Customization
  • Reporting
  • Datamodel(via Views)

企業がソフトウェアをバージョンアップに対応するには時間が必要であり、マネージドクラウドエディションでは、過去のバージョンを維持したまま新バージョンをリリースする(新野注:ECC6.0とは、現在のSAP ERPのS/3相当部分。つまりS/4HANAマネージドクラウド版ではR/3互換を提供するということのよう)。

新しいUIが登場しても、古いUIを一定期間顧客に提供し続ける。処理についても同様。顧客にとって非破壊的なリリースチェンジを提供する。

S/4 HANA On Premise Edition。

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(スライド右下「all this plus...」)

  • Unlimited individualizations
  • Option to convert to the cloud

金融や病院など、手許にデータを置かなくてはならないケースに対応する。オンプレミスのシステムは、短期間でクラウドへ移行可能だ。

データモデルのシンプル化

S/4HANAではデータモデルのシンプル化で劇的にデータ量が少なくなる。

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実際に、ある米国の会計システムの例だが、既存のデータベースは約600GB。これをHANAへ移行することで(HANAのカラム型データ構造や圧縮機能、インメモリによるインデックスの排除などにより)データが118GBにまで小さくなる。

さらにS/4HANAではデータモデルがシンプルになり(S/4HANAでは内部のテーブルなどが少なくなっている)、42GBまで縮小。さらにアクチュアルデータとヒストリカルデータを分けた結果、コアとなるデータはわずか8GBになった。iPhoneにも入る大きさだ。

これでスループットは大きくなる。しかもバックアップも、アップロードも、リスタートも、テストも、開発環境も本物のデータを使ったテスト環境も、わずか8GBで済む。これがS/4HANAのユニークさの1つだ。

S/4HANAのデモ

ログイン画面。

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コンフィグレーション画面

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アナリティクス機能。リアルタイムにデータをドリルダウンし、指標ごとにグラフ化できる。

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今回の発表のポイントを短くまとめました。

S/4HANAの基盤となっているHANAインメモリデータベースのアーキテクチャについては、以下の記事で詳しく解説しています。

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