Red HatがAnsibleを買収した理由、同社クラウドマネジメント戦略担当が説明
OpenStackに代表されるような、多数のサーバに対して複数のソフトウェアをインストールするような複雑なシステムの構成には、作業を自動化してくれるツールが不可欠です。
こうしたツールはいわゆるデータセンター自動化ツールなどと呼ばれており、ChefやPuppet、そしてAnsibleといったツールがよく知られています。
そのAnsibleをRed Hatが買収したと発表しました。
ChefやPuppetでは、インストール先のサーバにあらかじめエージェントソフトウェアを導入しておく必要がありますが、Ansibleはそうしたエージェントを必要とせず、また設定もYAMLと呼ばれる分かりやすい形式で記述できるなど、全体にシンプルなツールであることが大きな特長の1つです。
Red HatはこうしたAnsibleのシンプルさを評価しつつ、構成の自動化ツールとしてアプリケーションのデプロイやソフトウェアデリバリの迅速化、OpenStackのインストールの自動化、コンテナ導入の促進などの効果を期待してAnsibleを買収、自社の製品群に組み込むことにしたと説明しています。
なぜRed HatはAnsibleを買収したのか
なぜRed HatがAnsibleを買収したのか、そのものずばりのタイトルの記事「WHY DID RED HAT ACQUIRE ANSIBLE?」を、Red HatのCloud Management StrategyゼネラルマネージャAlessandro Perilli氏がRed Hat Cloud Strategy Blogに投稿しています。
ここでPerilli氏は3つの理由を挙げています。1つ目は自動化ツールの重要性が高まっていることを指摘。
Automation helps IT organizations addressing the increasing demand for speed and simplicity coming from the lines of business (LOB) across a wide range of key initiatives,
オートメーションは、ビジネス部門からの幅広い取り組みに関して、より早くシンプルにしてほしいという増え続ける要望を、IT部門が解決する助けになる。
その上で、Red Hatの求める方向性にAnsibleの機能や構造が合致していたと。
At the product level, Ansible matches Red Hat’s desire to deliver a frictionless design and a modular architecture through open development:
製品のレベルでは、Ansibleは、Red Hatが求めていた摩擦のないデザインとモジュラー構造に合致している。
そして3つ目の理由が、Ansibleのマルチティア、マルチベンダ対応などです。
At the portfolio level, Ansible matches Red Hat’s desire to support a multi-tier architecture, provide multi-layer consistency, and deliver multi-vendor support:
ポートフォリオのレベルでは、AnsibleはRed Hatの求めるマルチティアアーキテクチャのサポート、マルチレイヤの一貫性の提供、マルチベンダサポートに合致している。
そのRed Hatの製品ポートフォリオのレベルでは、下記のようにコンフィグレーションとオーケストレーションの中間に位置するオートメーションの役割がAnsibleの位置となっています。
Red Hatの製品群はLinux OSから始まり、仮想化、ミドルウェア、ストレージ、そしてOpenStackのようなクラウド基盤、OpenShiftのようなPaaS基盤へと、幅広い機能とレイヤにまたがるものになりました。これらを使いやすく、かつ迅速に提供するために、構成自動化ツールの充実は同社にとって戦略上欠かせないピースだったといえるでしょう。
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