VMwareがvSphereに最適化したコンテナ向け軽量LinuxOS「Project Photon」リリース。Mesosphereも統合予定
VMwareが、コンテナ向けに最適化された軽量LinuxOS「Project Photon」をテクノロジープレビューとして公開しました。これまで仮想化ハイパーバイザを中心に製品群を組み立て(あるいはSpring Frameworkのような上位レイヤのものもありましたが)、OSとは一定の距離を保とうとしていたVMwareにとって大きな変化といえます。
PhotonのWebサイトでは、Photonの特長を次のように説明しています。
Photon™ is a technology preview of a minimal Linux container host. It is designed to have a small footprint and boot extremely quickly on VMware platforms.
PhotonはミニマルなLinuxコンテナ用ホストのテクノロジプレビューです。VMwareプラットフォームにおいて、小さなフットプリントときわめて短時間でのブートを実現するように設計されました。
Project PhtonはvSphereに最適化した軽量なLinuxで、大きさは約300MB。例えば性能向上のためにvSphereハイパーバイザとLinuxカーネルの両方で冗長なキャッシュをしないようなチューニングなどが行われています。
LinuxコンテナとしてDockerはもちろん、CoreOSのrkt、Pivotalが開発したGarden(Cloud Foundry内部で利用されているRubyで書かれたコンテナ「Warden」をGoで書き直したもの)にも対応。
VMwareはProject Phtonのリリースと同時に、コンテナにセキュリティレイヤを追加してインフラからアプリケーションまで連係したユーザーID管理やアクセス制御を実現する「Project Lightwave」も発表しました。
VMwareはOSを持つか? エコシステムに任せるか?
VMwareは今後Project PhotonやProject Lightwareを、仮想マシンやコンテナをリソースプールとして扱うデータセンター向け基盤ソフトウェアの「Mesosphere」とも統合していく方針を明らかにしており、今後VMwareプラットフォームにおけるコンテナ実装がさらに推進されていくことは間違いありません。
Project Photonはテクノロジープレビューとして発表されており、VMwareはこれをVMwareプラットフォームにおけるコンテナのためのリファレンス実装と位置づけています。当然ながらProject Photonは製品ではなく商用サポートもありません。
しかしいまや、サーバサイドのアプリケーションは分散アーキテクチャが当たり前になり、マイクロサービスのようなアプリケーションのアーキテクチャも注目される中、それを効率的に実装するコンテナはプラットフォームの中核技術と見なされるようになり、コンテナに最適化できないプラットフォームの将来性に疑問符が投げかけられようとしています。
マイクロソフトはそれゆえ、Windows Serverに手を入れて独自コンテナ技術を組み込み、Nano Serverと呼ぶ軽量なWindows Serverを発表し、さらにDockerと提携してDockerの移植も行うという決断を行いました。
では、VMwareはどうするべきでしょうか。OSベンダとの競合を覚悟の上で、Project Photonを自社製品として徹底的に強化、最適化しつつ手厚いサポートと将来性の担保を行うべきか、それともリファレンス実装をはじめとするエコシステムのてこ入れに注力し、サードパーティによる豊富な品揃えに向かうべきか。
いまVMwareの経営陣はどの戦略がよいのか、必死で模索しているところなのではないでしょうか。
追記 4/22 9時20分:当初、タイトルも含めProject PhotonをCoreOSベースと記述していましたが、間違いでした。タイトル及び本文中で関連する記述を削除しました。お詫びして訂正いたします。
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