オラクル、高価格帯だったエンジニアドシステムで価格競争を宣言。新戦略は最高性能をもっとも安く提供すること
オラクルが「Engineerd System」(エンジニアドシステム)と呼ぶ、同社のハードウェアとソフトウェアを組み合わせた製品群は、圧倒的な高性能を実現する一方で、業界的にも同社のラインナップから見ても高価格帯に属する製品群の1つでした。
米オラクルは1月21日(日本時間22日早朝)、Engineerd Systemの新製品群を発表。と同時に同社取締役会議長兼CTOのラリー・エリソン氏は発表会におい、てこれまでのEngineered System戦略を転換し「最高の性能だけでなく、もっとも低価格で提供する」と、統合サーバ分野で競合するシスコやデルなどよりも高い性能を低価格で提供することを打ち出しました。
新戦略は、最高の性能をもっとも低価格で提供すること
新製品の発表に先立って、ラリー・エリソン氏は次のように発言しています。
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「Engineered Systemの当初の戦略は、とにかく高性能にすることだった。さらにコストパフォーマンスを高め、TCO(総所有コスト)の削減も実現した。しかしEngineerd Systemは容易に購入できるものではなかった。
そこでわれわれは新戦略を打ち出す。データセンターでもっとも中核となっている2ソケットサーバ、低価格でLinuxを走らせるマシンで競争力を持つことにした。
新戦略では、高性能を提供するだけではない。それをもっとも低価格で提供する」
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新製品群はEngineered Systemの第五世代として「X5」と名付けられています。その新製品群の中でエリソン氏が最も力を入れて紹介したのが、「Oracle Virtual Compute Appliance X5」です。
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Virtual Compute Appliance X5と、すでに発表済みのフラッシュ対応SANストレージ「Oracle FS1」の組み合わせは、同様にコンピュート、ネットワーク、ストレージに仮想化ソフトウェアなどを統合した競合製品よりも2倍安いとエリソン氏。
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Exadata X5、Exalogic X5も発表
さらにEngineered Systemのラインナップとして、「Oracle Database Appliance X5」「Big Data Appliance X5」「Exalogic X5」などを相次いで発表。
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Engineered SystemのフラッグシップでもあるExadataもX5が登場。
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「(Exadataは)ほかとは比較できないくらい高速に動作する。そして、他よりも低価格である」(エリソン氏)。また、新しいフラッシュストレージサーバも登場。
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データセンター全体をオラクルのシステムでカバーする
この図はエリソン氏が発表会の冒頭でデータセンターにおけるトレンドを解説するために示した図です。ここに今回の発表の意図が見えます。
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エリソン氏は、データセンターの中核的なサーバは、安価なインテルの2ソケットサーバであると説明しました。そしてその周囲に、データベースやビッグデータ、バックアップといった特定のワークロードを高性能に処理するアプライアンス群(Engineered System)が位置する、と。
このとき、オラクルはすでにデータベース、ビッグデータ、バックアップのワークロードを処理する分野ではEngineered Systemによって十分な地位を得ていますが、データセンターの中核をなすサーバ群やそこに接続されているストレージは、シスコやデル、EMCなどに主導権を握られている状態です。
今回のX5製品群の発表は、オラクルがデータセンターの中核を占めるこの安価なサーバ市場も取りに行き、データセンターのサーバ、ストレージ、ネットワーキング全体をオラクルでカバーするだけの競争力を市場で持ちたいと考えたためと見ることができます。そしてそのために、自社の強みを活かせるEngineered Systemであえて価格競争に飛び込んだ、と言えるのではないでしょうか。
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