OpenStackベンダの買収が相次ぐ。シスコ、「Piston」買収へ。IBMは「Blue Box」を買収。オラクルは倒産したベンダのエンジニアチームを吸収
米シスコはOpenStackディストリビューションベンダの「Piston Cloud Computing」を買収する意向であることを明らかにしました。
Piston Cloud Computingは、OpenStackの開発に携わったNASAのエンジニアなどが集まって作られたベンダで、OpenStackのディストリビューション「Piston CloudOS」を提供しています(国内では東京エレクトロンデバイスが販売代理店として提供)。
Piston CloudOSは企業がOpenStackを導入しやすいように設計、開発されており、プライベートクラウドの構築に向いているとされています。シスコは同社の買収により、クラウド戦略と製品の拡充を実現することになるでしょう。
IBMはBlue Boxの買収を発表
米IBMは、OpenStackによるマネージドクラウドを提供している「Blue Box Group, Inc」の買収を発表しました。
Blue Box GroupはOpenStackを基盤ソフトウェアとして構築した、企業専用のシングルテナントのプライベートクラウドサービスなどを提供するベンダ。オンプレミスと連係したハイブリッドクラウドの構築なども行っています。
IBMはOpenStackベースのマネージドクラウドやプライベートクラウド、ハイブリッドクラウドをさらに充実させていくことになります。
相次ぐ買収の背後にある2つの理由
相次ぐOpenStackベンダの買収は、少しさかのぼると米オラクルも行っています。同社は4月に倒産したOpenStackアプライアンスを提供していた「Nebula」のエンジニアリングチームを吸収したことが報道されています。
このように大手ベンダが相次いでOpenStackベンダを買収、吸収する背景には2つのことがあると言えます。
1つは急速にOpenStackがプライベートクラウドのクラウド基盤ソフトウェアとして標準の地位を確立しようとしている、ということです。VMwareでさえ同社製品を統合したOpenStackディストリビューションである「VMware Integrated OpenStack」をリリースしたことからも、市場におけるOpenStackの勢いというものが見て取れるでしょう。
こうした中で、OpenStackに詳しい人材の獲得競争が始まっているというのが、相次ぐ買収の背景と考えられる2つ目の理由です。
OpenStackは1つのソフトウェアと言うよりも、サーバ仮想化、ネットワーク仮想化、サーバ仮想化、ブロックストレージやオブジェクトストレージなど複数の種類のストレージ仮想化、ユーザー認証、ログ管理といったさまざまな機能を持つソフトウェアの集合体です。しかもそのエコシステムは急速に広がっており、この全体像を把握し、構築を支援し、適切に運用できる能力を備えたエンジニアはまだ限られた貴重な存在と言えます。
相次ぐ買収は、もちろん製品やサービス、ブランドを手に入れるという意味以上に、OpenStackを積極的に展開する上で不可欠な人員をまとめて獲得するという目的が大きいのではないかと考えられます。
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