全オラクル営業担当がPaaSを販売、日本オラクルがクラウドを本格展開へ。Oracle CloudWorld Tokyo 2015
「本日をもって本格的なクラウド宣言、クラウドへのコミットメントです」日本オラクルの取締役 代表執行役社長兼CEOの杉原博茂氏は4月9日に同社のイベント「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」会場で開催された記者発表でこのように発言し、日本オラクルが国内で本格的にクラウドへ注力することを鮮明にしました。
「全オラクル営業担当がPaaSを売ります」(杉原氏)
同社が注力するのが、PaaS型クラウドサービスの「Oracle Cloud Platform」。OracleデータベースやJava実行環境などを提供します。
同社のクラウドの強みは、オンプレミス用とクラウド用が同じアーキテクチャ、同じオラクル製品で構築されており双方向のポータビリティがあること、そしてSaaSで提供される業務向けアプリケーション群、PaaS、IaaSの3レイヤが揃っていることなど。
特にSaaSの機能拡張をPaaSで行える点は重要だと副社長執行役員 データベース事業統括の三澤智光氏。
Oracle Cloud Platform普及の取り組みとして、Oracle Master資格保有者を中心にトレーニングを展開し、1万人のクラウド技術者を育成。またOracle Cloud Platformの技術者認定制度も立ち上げる予定。パートナーに対してもISV向けの契約プログラムや、教育プログラム、営業支援プログラムなどを充実させていくとしています。
2020年に国内のクラウドでナンバーワンになる、というビジョン
基調講演でラリー・エリソン氏が発表したように、年内には日本に大きなデータセンターの設置も行われる見通しです。
しかしすでに国内にはAmazonクラウド、セールスフォース・ドットコム、Microsoft Azure、SAP、IBM SoftLayerといったグローバルプレイヤーが国内データセンターを設置し、本格的なビジネス展開をスタートさせています。
日本オラクルは、2020年にクラウドでナンバーワンになるというビジョンを明らかにしています。杉原社長に「クラウドでナンバーワンになるとは具体的にどういうことか?」と質問したところ「クラウドといったときに、いちばんにオラクルという名前がお客様からあがる。ちゃんと認識されているということ。具体的なKPIはまだない」との答えでした。
クラウドの主要なグローバルベンダと比べると、明らかに1年以上遅れて国内で本格展開を宣言したきたオラクルが、このビジョンを現実のものにするのは容易ではないでしょう。
Oracle CloudWorldという大規模なイベントを開催し、本社CTOのラリー・エリソン氏が来日し、日本法人が本格参入の宣言をするなど、同社のクラウドへの本気度は十分に表明されましたが、ではこれまでの後れをどう乗り越えていくのか。クラウドの発展にはパートナーやユーザーを巻き込んだエコシステムの構築が重要だというのが現在のクラウド市場で共通の見方ではないかと思います。オラクルはパートナーとの協業をクラウドでも重視していることを表明しており、今回発表された施策にも教育や資格、パートナー施策がありますので、まずはそうしたエコシステムの基礎固めから始めて行くことになるのでしょう。
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