x86サーバをたばねてハイパーコンバージドインフラを構築するNutanix。無料のNutanix Community Editionを発表
「ハイパーコンバージドインフラ」と呼ばれる新しい種類のサーバ群が登場しています。
これまで、サーバ、ネットワーク、ストレージが統合された「コンバージドインフラ」では、ストレージは共有ストレージアレイを利用するのが一般的で、複数のサーバが共有ストレージアレイに接続され、統合されていました。
新しく登場した「ハイパーコンバージドインフラ」は共有ストレージアレイを利用せず、個々のサーバに内蔵されたストレージをストレージ仮想化ソフトウェアによって単一のストレージプールとして構成し、利用するというものです。
これによって物理的な共有ストレージアレイが不要となり、SSDやHDDを内蔵したブレードサーバを並べていくだけで、数百台以上の規模でスケールアウトするシンプルで高密度なシステムが実現できるようになります。
ハイパーコンバージドインフラは、今月EMC傘下のVCEが「VxRack」を発表し、HPやDellもすでに製品を展開中、VMwareもハードウェアパートナーと「EVO:RAIL」や「EVO:RACK」を展開するなど、新しいITインフラの形式として注目されています。
そしてハイパーコンバージドインフラの分野で先駆的存在かつ最大手と言えるのが、2009年創業の新興ベンダ「Nutanix」(ニュータニックス)です。
ハイパーコンバージドインフラの先駆的存在「Nutanix」
Nutanixは2011年から、ハイパーコンバージドインフラ機能を備えたソフトウェアをブレードサーバに組み込んだアプライアンス製品をリリースしています。
ソフトウェアによって実現される重要な機能の1つが、独自の仮想ストレージ機能によって共有ストレージアレイを不要にし、スケールアウトストレージを実現するNutanix Distributed File Systemです(下記は同社資料から)。
各ノードごとにこの仮想ストレージ機能が組み込まれることで、仮想マシンからはNFS経由で巨大なストレージプールに接続しているように見える一方、分散して存在する物理ストレージに対してデータを冗長化しつつ分散処理されるため、信頼性を保ちながら容量と性能がスケールアウトすることになります。
そのほか同社製品はネットワークの仮想化やシステム全体の管理機能なども備えています。
無料の「Nutanix Community Edition」発表
Nutanixはこのハイパーコンバージドインフラを実現するソフトウェアの無料版「Nutanix Community Edition」を発表しました。
同社製品に組み込まれているソフトウェアを独立して取り出したもので、ユーザー自身のサーバにインストールすることでハイパーコンバージドインフラを試せます。
最小システム構成は1台から最大4台までで、1ノードあたりのメモリが最低16GBからなど。同社ではほとんどのサーバクラスのシステムで動作すると説明しています。
起動にはUSBメモリが必要になるため、クラウド上のベアメタルサーバやホスティングサーバなどリモートサーバでの利用は難しいと思われます(今後改善される可能性もあります)。
5月27日に都内で開催された同社日本法人主催のコミュニティ「Nutanix Community Meetup #1」では、同社製品の技術的な解説とCommunity Editionの発表、デモなどが行われました。下記の画面は、そのときのNutanix Community Editionのコンソール画面です。
Nutanix Community Editionは米国時間の6月8日からベータ版を公開予定。登録者から順次ダウンロードページのURLなどが連絡されるとのことです。
あわせて読みたい
[速報]「Google Photos」発表。容量制限なく1600万画素の写真と1080Pの動画まで保存、ディープラーニングで写真分析し整理も支援。Google I/O 2015
≪前の記事
米インテル、コンテナ最適化OS「Clear Linux Project」発表。仮想マシンでコンテナをラップしセキュアに分離、仮想化支援のVT-xを活用