JUnitの開発が資金不足で行き詰まり。クラウドファンディングで寄付金を募集中
「JUnit」は、Javaで単体テストの自動化を行うためのフレームワークです。さまざまな開発ツールでサポートされ、Javaの単体テストを行う際の事実上の標準になっていると言っても過言ではないでしょう。
オープンソースで開発されているJUnitは現在、資金不足によって開発が行き詰まりを見せており、「Crowdfunding JUnit Lambda」と名付けられたクラウドファンディングによる寄付金の募集のキャンペーンが8月3日から始まっています。(@t_wadaさんのツイートで知りました。ありがとうございます)
Please spread the word: The #JUnit crowdfunding campaign will start on August 3 http://t.co/4XJgSLCANI
— JUnit Lambda (@junitlambda) 2015, 7月 29
なぜこのキャンペーンが行われているのか、キャンペーンページの「Why JUnit needs your support」から一部を引用します。
As of today, none of the active JUnit maintainers are payed by their employer to do this work. Not surprisingly many unresolved issues have piled up and, what’s worse, there is no hope to get JUnit to support and make use of all the features in Java 8 any time soon.
今日現在、アクティブなJUnitメンテナは誰一人として雇用主からこの作業での給与を得ていない。多くの未対応の課題が積み上がっていることは、だから驚くべきことではないし、それにも増して残念なのはJava 8のサポートや機能を利用するめどが立たないことだ。
キャンペーン名となった「JUnit Lambda」は、Java 8でいちばん有望な機能であるLambdaにちなんだとのことです。
このキャンペーンが目指しているのは、コミッターたちがJUnitをこの先何年ものあいだ使えるものにする、そのための作業に取り組めるようにすること、とされています。
目標金額と使途
クラウドファンディングで示されている「Crowdfunding JUnit Lambda」の目標金額は2万5000ユーロ(1ユーロ136円相当として約340万円)。この金額が集まった場合、手数料や税金を引いた後に1万9000ユーロ(約260万円)を受け取ることができます。
この1万9000ユーロのうち、4000ユーロがJUnitoの開発者およびIDEの開発者のような関係者を集めたオンサイトでのキックオフワークショップの開催費用や、そのための数人の海外渡航費や宿泊費に充てられ、残りは最低4人を6週間フルタイムの開発に従事してもらう費用と、雇用主が人件費を負担する3人のフルタイム開発者の交通費に使うとのこと。
目標金額を1万ユーロ上回った場合、少なくとももう1人のフルタイム開発者を追加。それ以上上回った場合には、開発期間を延長して安定化や改善を行っていくとのこと。
そして2016年末までに使い切れなかったお金は、チャリティやソフトウェア関連の財団に寄付されます。
この記事を執筆している9月17日23時現在、2万5000ユーロを2万ユーロ以上上回る4万6926ユーロが集まっています。
JUnitの方向性
キャンペーンページでは「The Vision」としてJUnitを改善していく方向性について、次の3つの項目を挙げています。
Decouple test execution and reporting from test definition and provisioning
テストの実行とレポーティングを、テストの定義およびプロビジョニングから切り離す
Rethinking the JUnit’s extensibility story
JUnitの拡張方針について再考する
Making use of Java 8 features (Lambdas, Streams, Interface default methods) for better assertions, generating test cases, formulating test hierachies, testing asynchronous code and other stuff
Java 8の機能(Lambdas、Streams、Interface default methods)を使えるようにすることで、よりよいアサーション、テストケースの生成、テストヒエラルキーの整備、非同期コードのテストなどを実現する
@ttddyyさんが、最新情報をツイートされていましたのでいくつか以下に埋め込みます。
[JUnit Lambda情報] 開発は6週連続で行われるのではなく、最初の1週は全員集まって、その後は毎月1、2週間ずつ開発して行くそうです。 #fundJUnit @junitlambda
— ttddyy (@ttddyy) 2015, 9月 17
[JUnit Lambda情報] 開発のキックオフ場所はドイツ。時期は、10月末or11月初め頃から開始の予定らしいです。#fundJUnit @junitlambda
— ttddyy (@ttddyy) 2015, 9月 17
[JUnit Lambda情報] 開発にはjunitのコアメンバー数名、ツール側から@intellijidea , #eclipse, @gradleから各一名、その他数人が参加する予定だそうです。#fundJUnit @junitlambda
— ttddyy (@ttddyy) 2015, 9月 17
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