来年後半に登場予定のJava EE 8、オブジェクトのJSONバインドやHTTP/2対応へ
国内最大のJavaのイベント「Java Day Tokyo 2015」が4月8日に開催されました。「Java EE directions and future」(Java EEの方向性と未来)と題されたセッションでは、JavaOneでもつねにJava EEについて解説を行う米オラクルのリンダ・デミケル氏がJava EEの現時点での計画について紹介を行いました。
セッションの内容をダイジェストで紹介します。
HTML5、Ease of Development、Cloudが3大テーマ
リンダ・デミケル氏。
Java EE 8について4500人以上に調査を行い、どんな機能の優先度が高いのかをまとめてみた。1番はJSONB、2番目はSecurity Simplification、3番目はJCache、4番目はSecurity Interceptors、5番目はMVCとなった。
業界の動向などを検討すると、Java EE 8のテーマは次の3つとなる。
- HTML5 / Web Tier Enhancements
- Ease of Development / CDI alignment
- Infrastructure for running in the Cloud
JSONBはJavaオブジェクトのマーシャルAPI。XMLにおけるJAXBに似ている。MOXy、Jacksonなどのベストプラクティスを見ながらAPIを開発していく。また、JSONBはJSONP(Java API for JSON Processing)APIを基盤にして構築していくため、JSONPも最新版にしていきたい。
Server-sent EventsはHTML5の標準で、クライアントがコネクションを開いてサーバからプッシュ配信していくもの。
これがどのように使えるか検討中だが、JAX-RSが有望だと考えている。実装においてはJerseyがすでにServer-sent Eventsをサポートしているということもあり、Jerseyが(Java EE 8での実装のための)論点になっている。
もう1つの新しい重要な標準がHTTP/2だ。パフォーマンスなどの面で改善されている。
Servlet 4.0でどのようにHTTP/2をサポートするか、議論されているところです。リクエスト/レスポンスの多重化、サーバプッシュなどのAPIを追加していきたいと考えています。
クラウドへの対応も強化
インフラの近代化、特にクラウドへの対応がそうだが、オンプレミスも同時に重要だ。ここでは、マネジメントAPIの近代化とセキュリティが重要なプロジェクトになっている。
Java EE Management APIを刷新し、RESTベースに置き換え、強化していく。
セキュリティについては、複雑すぎるとか時代後れだとかポータビリティがないなど、たくさんのフィードバックをもらっている。そのうちの1つとして、パスワードを別名化( alias)し、プレーンな状態で処理しなくていいようにする。
もう1つは、ユーザー管理をサーバの構成に依存せずに実現しようと。特にこれはクラウドで重要になってきている。
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