米HP、パブリッククラウドから撤退し、マネージドサービスと仮想プライベートクラウドへ注力。「HP Helion Public Cloud 」は来年1月で終了へ

「最適なパブリッククラウドの組み合わせを提供してほしいという要望に応えるため、われわれは戦略を変更する」。米HPのHP Cloudシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャのBill Hilf氏は、10月21日付のブログポスト「A new model to deliver public cloud」（パブリッククラウド提供の新しいモデル）で、これまで提供してきた同社のパブリッククラウドサービスを来年1月で終了することを明らかにしました。

A new model to deliver public cloud - HP Enterprise Business Community

米HPはOpenStackをクラウド基盤ソフトウェアとして採用し、プライベートクラウド向けにはパッケージソフトウェアとして「HP Helion OpenStack」を提供し、パブリッククラウドとしてはOpenStackを採用した「HP Helion Public Cloud」をサービスとして提供してきました。

しかし顧客の要望はHPのクラウドを求めるのではなく、最適な組み合わせによるハイブリッドクラウドの実現だとHilf氏は説明。これがHPのクラウド戦略を変更する理由だと説明しています。

Customer tell us that they want the ability to bring together multiple cloud environments under a flexible and enterprise-grade hybrid cloud model. In order to deliver on this demand with best-of-breed public cloud offerings, we will move to a strategic,

お客様は、複数のクラウド環境を柔軟かつエンタープライズ品質で組み合わせたハイブリッドクラウドのモデルを実現できるようにしてほしいと言う。この、最適なパブリッククラウドの組み合わせを提供してほしいという要望に応えるため、われわれは戦略を変更する。

そして戦略変更の結果、OpenStackベースのソフトウェア製品は引き続き提供を続けるものの、これまで提供してきたHPのパブリッククラウドサービスである「HP Helion Public Cloud」は2016年1月31日を持って終了するとのこと。

今後、クラウドサービスとしてはマネージドサービスと仮想プライベートクラウドに注力するとしています。

On the cloud services side, we will focus our resources on our Managed and Virtual Private Cloud offerings. These offerings will continue to expand, and we will have some very exciting announcements on these fronts in the coming weeks.

クラウドサービスとしては、われわれのリソースをマネージドサービスと仮想プライベートクラウドの提供に注力させる。これは引き続き拡大を目指し、数週間以内には大きな発表をいくつか行うつもりだ。

また、HPではAmazonクラウドのサポートを開始するとともにマイクロソフトとも協業し、Office 365とMicrosoft Azureのサポートも進めていくとしています。

HPのライバルであるIBMが2013年にSoftLayerを買収し、2014年にはワールドワイドで12億ドル（約1440億円）もの投資を行ってようやく大手クラウドベンダの背中が見えてきた位置に付けてきたことを考えると、それよりさらにクラウド市場での存在感が低いHPがこれからパブリッククラウドで大手クラウドベンダと戦えるような地位を得るのは相当に困難です（HPも2014年にクラウド戦略に対して10億ドルの投資を発表していました）。

一方でマネージドサービスや仮想プライベートクラウドは、多くの大企業を顧客に持つHPにとって自社の強みを生かしやすい分野と言えます。今回の戦略変更はHP自身がそうした状況を冷静に見極めた結果ではないでしょうか。