クラウド専業のERPベンダ「Workday」が日本で本格展開を開始。グローバル企業向け人事財務管理に強み
大企業向けにクラウドサービスとして人事管理や財務管理などのERPを提供している「Workday」が、日本での本格展開の開始を発表しました。
Workdayは、2005年に米オラクルに買収されたERPベンダである米ピープルソフトの共同創業者Dave Duffield氏が、2005年にAneel Bhusri氏と創業。人事管理と財務管理などの機能を備えたERPアプリケーションをSaaS型クラウドサービスとして提供するクラウド専業のベンダです。
海外ではグローバル企業向けのERPとしてよく知られており、米ヒューレット・パッカード、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モルガンスタンレーなど多くの導入事例があります。日本では今日1月14日から顧客獲得やパートナー獲得に向けて本格的な営業活動の開始を表明しました。
人事部門だけでなく事業部門のビジネスリーダーも支援する
米Workday プレジデント兼COO マイク・スタンキー(Mike Stankey)氏は、同社製品の強みとして顧客満足度の高さをあげます。調査会社の調査によると同社製品の顧客満足度は97%で「既存のERPソフトウェアよりも15%以上高い」(スタンキー氏)。そのおもな理由として「競合他社は買収によってERPのさまざまな機能を構築しているが、われわれは自社開発による統一したテクノロジースタックで構成し、ユーザー体験もモデルも統一されている」からだと説明しています。
Workdayの機能は人事管理と財務管理からなっており、例えば営業管理職のダッシュボード上には財務管理から分析によって営業目標の達成に影響があるポジションに空きがあることを警告し、人材募集をかけるよう人事部に働きかけたり、営業スタッフを売り上げ成績別に人事評価と並べて分析。昇級や昇格、一時金の提供といった人事のアクションにつなげることができます。
「Workdayを使うのは人事部門だけでなく、社内のビジネスリーダーや事業部門のビジネスリーダーが問題を解決するのを支援する」(米Workday HCMプロダクトマネジメントディレクター 宇田川博文氏)
ただし現時点で人事管理の機能は日本向けにローカライズされ日本語化も済んでいるものの、財務管理系の機能は「現在、日本でどのような機能が必要なのか調査と理解を進めているところで、その上でどのタイミングでローカライズし展開するかをこれから決めようとしている」(スタンキー氏)
もう1つのWorkdayの特長は、すべてをWorkdayによるERPに取り込むのではなく、得意分野が異なる他のクラウドサービスとの連携を打ち出しているところです。顧客管理や売り上げ管理などはセールスフォース・ドットコムと、コラボレーションはGoogle AppsやOffice 365、Dropboxなどと連携するとしています。「Workdayは、全部を自分たちで構築したいとは思っていない。クラウドでの連携が現実的な方法だと思っている」(スタンキー氏)
日本法人となるワークデイ株式会社の代表取締役社長 ゼネラルマネージャの金翰新(キム・ハンシン)氏は、日本における戦略として「まずは日本に本社機構を持ち、グローバル展開をしている企業を支援させていただく」と、グローバル展開の強みを打ち出します。すでに国内でも日産自動車、ソニーなどが導入しているとのこと。また国内でもパートナーを募っており「数週間以内に発表できるだろう」(金氏)
同社のデータセンターは米国と欧州にあり、顧客がどちらかを選択可能。日本にはまだデータセンター設置の計画はありませんが、検討しているとのことです。
あわせて読みたい
Google Cloud Platformのユーザー会「GCPUG」が始動
≪前の記事
過去365日一度も落ちなかったクラウドサービスはある? AWSやAzureの実際の年間ダウンタイムは? Cloud Harmonyの調査結果