Docker、Software-Defined NetworkingのSocketPlaneを買収。Dockerネイティブなネットワーク機能を構築へ
Dockerは、Software-Defined Networkingの技術を開発してきたスタートアップ企業「SocketPlane」を買収したと発表しました。
SocketPlaneはDockerネイティブなネットワークの構築をソフトウェアによって実現する機能を開発してきました。Dockerは同社の買収によって、これをさらに前進させていくことを意図しています。以下はプレスリリースから引用。
The explicit focus of the SocketPlane team within Docker will be on collaborating with the partner community to complete a rich set of networking APIs that addresses the needs of application developers and network and system administrators alike.
DockerにおけるSocketPlaneチームの明確な焦点は、パートナーコミュニティとの連係によってリッチなネットワークAPI群を完成させ、ネットワーク管理者やシステム管理者、アプリケーションデベロッパーのニーズを満たすことにある。
Dockerはこれにより、コンテナ間の通信機能においてもDocker専用の機能を実現しようとしています。これによってベンダ独自のネットワーク機能に依存せず、アプリケーションのポータビリティが高くなるというのが同社の主張です。少し長くなりますが、再びプレスリリースから。
Docker brings networking to the application itself; all Docker containers can interact in concert as a distributed application securely over an IP infrastructure free from costly approaches like dedicated and proprietary application communication buses.
Dockerはアプリケーションそのものにネットワーキングを持ち込もうとしています。すべてのDockerコンテナは、高価でベンダ独自のアプリケーション通信バスから開放され、分散アプリケーションとしてIPインフラ上でセキュアに相互に連係できるようになります。
SDN efforts for Docker provide infrastructure freedom of choice where admins can select which networking “batteries” are right for an application specific use case. In this manner, all aspects of networking can be software-defined with complete portability that ensures that a distributed application is not bound to a specific vendor or cloud provider.
DockerのSDNへの取り組みは、インフラの選択の自由を実現し、管理者はどのネットワーキング機能の“連係”がアプリケーションに適しているのか選択できるようになります。これによって、ネットワーキングのあらゆる面がソフトウェアによって定義できるようになり、分散アプリケーションは特定のベンダやクラウドプロバイダといった制限を超えて完全なポータビリティを持てるようになります。
コンテナ、オーケストレーション、SDN。次は?
DockerはLinuxコンテナ機能を実現するDocker EngineとそのエコシステムとなるDocker Hubを基盤に、オーケストレーションツール群となる「Docker Machine」「Docker Swarm」「Docker Compose」を相次いで開発し、公開してきました。SocketPlaneの買収はそれをさらに推し進め、ネットワーキングの機能においても手を広げてきたことになります。これは少々驚きでした。
やや発想が飛躍するのは承知でこの状況を俯瞰すると、例えばVMwareが仮想マシンを基盤に管理ツールからオーケストレーションツールへとvSphereを発展させ、Nicira Networksを買収してSDN機能を持つVMware NSXの展開へと広げていった様子に似ているようにも思います(そして同社の最新の取り組みの1つはストレージの仮想化技術を用いたVirtual SANです)。
DockerがVMwareのように、Linuxコンテナを基盤とする総合インフラベンダとしての展開を目指しているのだとすれば、もしかしたら次はストレージ分野への取り組みが顕在化する、といったこともあるのかもしれません。
あわせて読みたい
DevOpsは2016年までに多くの企業でメインストリームになる、ガートナー
≪前の記事
BitTorrent、複数のPCをPtoPでファイル同期する「Sync 2.0」リリース。無料版とPro版