「DockerはいずれCloud Foundryと競合するだろう」Mirantisが予想するPaaSの激突
OpenStack専業SIerの米Miarntisは、オープンソースとして開発されているPaaS基盤ソフトウェア「Cloud Foundry」を推進する団体「Cloud Foundry Foundation」への加入を明らかにしました。
Cloud Foundry Foundationへの加入は、MirantisがPaaS領域へ手を広げるためではなく、顧客がOpenStackの上で稼働するPaaSの選択肢を確保するためだと、次のように書いています。
our mission is to make sure it works best on OpenStack. Joining the Cloud Foundry Foundation is an important step in that direction.
私たちのミッションは、それ(PaaS)がOpenStackの上でベストな状態で稼働することを確実にするためです。Cloud Foundry Foundationへの加入はそのための重要な第一歩なのです。
Mirantisは、PaaS市場がCloud Foundryの一人勝ちになるのではなく、しばらくは多数の競合がひしめきあう業界になるだろうとみています。
その例として数日前にOpenStackを推進する進行ベンダーであるNebulaが業務停止を発表したことを引き合いに出し、「History is bound to repeat itself with a similar shakeout around PaaS as we are seeing in OpenStack today.」(歴史は繰り返す運命にある。OpenStackで見ているこの状況と似たPaaSの混乱が起こるだろう)と書いています。
そしてPaaSでさまざまな競合が起こる要因の1つがDockerだと言うのです。
DockerはいずれCloud Foundryと競合するだろう
MirantisはDockerがいずれPaaSと競合することになると予想しています。
Docker is now looking to monetize “container orchestration,” which is no different from PaaS, and will soon have them competing with Cloud Foundry again.
DOckerは“コンテナオーケストレーション”によるマネタイズに注目している。そしてこれはPaaSと何の違いもない。だからいずれ、Cloud Foundryと再び競合となるだろう。
つまりDockerはコンテナ自身ではお金になるビジネスをすることはできず、必然的にオーケストレーション機能を強化することをビジネスにする方向へ向かい、それは事実上PaaSと同じものになるのだからCloud Foundryと競合するだろう、という予想です。
それ以外にもMirantisはさまざまな派生ソフトウェア、CoreOSやKubernetes、OpenShift、またMesosphere、RancherOSなどの名前を挙げ、Cloud Foundryの競合になるだろうとしています。
ちなみに上記のMirantisの説明の中で「再び競合となる」というのは、かつてDockerは会社名がDotCloudだった頃に、自社でPaaSを実現しようしていたという経緯を踏まえた表現です。
レッドハットのOpenShiftは過去との互換性を捨ててKubernetesとDockerを軸にした新バージョンへと変わりますし、Cloud Foundryも次のバージョンでDockerの対応を検討しています。PaaSの市場は、まさにMirantisが見ているようにこれからコンテナを軸としたさまざまな新機能、新ソフトウェアが登場してくるのは間違いありません。
参考:DockerとKubernatesを核にしたPaaS基盤へと変わるOpenShift V3
しかもPaaS市場を見れば、Force.com、Heroku、Microsoft Azure、Google App Engineなど、すでに市場で何年も提供が続いている既存の大型プレイヤーが存在しています。これらもこれからDockerを取り込んで進化していくことになるでしょう。Googleやマイクロソフトはすでにその姿勢を鮮明にしています(またCloud FoundryはそのコンセプトをHerokuから学んでいたりもします)。
PaaS市場はDockerを軸にこれからさらに進化しつつさまざまな競合が起きる、というMirantisの予想は、PaaS市場を見つめる多くの人たちと同じ考えのはずです。
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