Google、1GB当たり1セントながら3秒以内にデータ取得できるニアラインストレージ「Cloud Storage Nearline」提供開始
一般にITのシステムおいてストレージはシステム全体の性能を左右する重要なコンポーネントであるため、高性能なSASドライブやSANストレージ、最近ではフラッシュストレージなどが多く用いられます。
こうした性能重視のストレージは一般にオンラインストレージ、あるいはプライマリストレージなどと呼ばれますが、これに対してバックアップ用途や、容量あたりのコストなどを重視したストレージを「ニアラインストレージ」と呼びます。低価格なSATAハードディスクなどを用いたストレージなどがこれに相当します。
長期保存やアーカイブが主目的となり、光学ディスクや磁気テープのように読み出し時にメディアを交換したりマウントするようなストレージのことを「オフラインストレージ」と呼びます。
Cloud Storage Nearline提供開始
Googleは3月11日付けのブログ記事「Introducing Google Cloud Storage Nearline: (near)online data at an offline price」(Google Cloud Storage ニアラインの紹介:オンラインデータをオフラインの価格で)で、新しいストレージサービス「Google Cloud Storage Nearline」のベータ提供を発表しました。
Cloud Storage Nearlineは、磁気テープや光学ディスクなどにアーカイブされたデータとは異なり、データ取得のレスポンスが3秒以内という高速性を実現しつつ、1GBあたり1セントというアーカイブされたデータ並の低価格が特長です。
「Nearline Storage」の紹介ページでは次のように説明されています。
Nearline Storage enables you to store data that is long-lived but infrequently accessed. Nearline data has the same durability and comparable availability as Standard storage but with lower storage costs.
Nearline Storageはそれほど頻繁にアクセスされないが長期で必要なデータを保存できます。Nearline Storageに保存されたデータは通常のストレージと同様の耐久性と可用性を持ちつつ、それでいて低コストで利用可能です。
データは、冗長化され物理的に離れた複数の拠点のストレージに保存、OAuthなどを用いてセキュアにアクセス可能。Google Cloud Storageと統合され、同じアクセス方法でシンプルに利用できるとのこと。
VeritasやNetAppなどがNearlineと統合したバックアップサービスを提供
Googleは同時にパートナーによるCloud Storage Nearlineを利用したサービスも発表しました。
Veritasはバックアップツールの「NetBackup」でCloud Storage Nearlineをサポート予定。NetAppもクラウドストレージゲートウェイ「SteelStore」でCloud Storage Nearlineをサポート。クラウドへデータを送信する前に、重複排除、暗号化、圧縮などを行うとしています。
Cloud Storage Nearlineは、Amazonクラウドのデータアーカイブサービス「Amazon Glacier」の競合と位置づけられることは間違いありません。1GBあたり1セントと価格をほぼ揃えた上で、数秒でデータを取得できるという点を大きな差別化要因として訴求してくるはずです。
Googleは1年前の昨年3月に、AWSへの対抗心を隠しもせずに価格競争を宣言しました。そのGoogleがここにきて、ストレージでも積極的な攻勢に出たのだと言えるでしょう。
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