Cloud Foundryの次バージョンでDockerや.NET対応を実現する「Diego」の内部構造は?(後編) 第25回PaaS勉強会
オープンソースで開発されているPaaS型クラウド基盤ソフトウェアの「Cloud Foundry」は、その内部にコンテナベースの実行環境である「DEA」(Droplet Execution Agent)を搭載しています。
Cloud Foundryの次バージョンとなるCloud Foundry V3では、このDEAに代わる新しい実行環境の「Diego」が登場します。そしてDiegoの登場は単にDEAがDiegoに置き換わるのではなく、Cloud Foundryのアーキテクチャそのものの変革につながっています。
(本記事は「Cloud Foundryの次バージョンでDockerや.NET対応を実現する「Diego」の内部構造は?(前編) 第25回PaaS勉強会」の続きです。
DiegoのDocker対応
ここからはDiegoのDocker対応や.NET対応について説明して行きたいと思います。
Diegoは、正確に言うとDockerイメージ対応です。コンテナを動かすCellの中身を詳しく見て見ましょう。
repやexectorというコンポーネントがありますが、いちばん重要なのはgardenです。その下にgarden-linuxがあって、その中にコンテナがいっぱい乗っているという形になります。
gardenというのは「インターフェイス定義」のことです。コンテナを作成するとかネットワークを設定するとか、共通で使われるインターフェイスを提供するのがgardenです。
実際にリクエストを受け取って、コンテナを作るといった実装レベルを担うのがGarden Backencというもの。で、Linux向けのGarden Backend実装がgarden-linuxです。
このgarden-linuxがDockerイメージに対応しているんですね。
どういうことかというと、Buildpackで作られたDropletが渡されたら、いままでと同様にDropletを実行。
Dockerイメージのパスが渡されると、Dockerイメージをリポジトリからダウンロードして、すべてのレイヤーをフェッチし、GardenコンテナのRootfsとしてGardenで使うイメージとして設定し、動かします。
つまりDockerコンテナがDockerとして動くのではなく、Gardenコンテナとして動かす。これがgarden-linuxの仕組みです。なのでDockerファイルには対応していませんが、Dockerイメージには対応しています。
ただ将来的には、garden-linuxをDockerの基盤であるlibcontainerに置き換える構想もあるらしいです。
Diegoの.NET対応
Windowsにgardenを実装して.NETを動かす、というのがDiegoにおける.NET対応です。
Century LinkによるCloud FoundryのWindows対応に「IronFoundry」というのがあります。これがいまCloud FoundryのIncubationに採用されて、Gardenの実装が進められています。
仕組みは、単にgarden-windowsがあるだけでなく、Containerizerなどを使っています。ただ、実際にどうやってWindowsでコンテナを実装しているのかまでは追えていません。IISのHostable Coreというマイナーな機能を使っているようなのですが、誰か調べてくれるとうれしいです。
いずれgarden-windowsが登場すれば、詳しいことがわかると思います。
Cloud Foundry V2とV3の共存
最後はCloud FoundryとDiegoの話です。
Cloud FoundryをDiego対応にしても、いまのCloud Foundry V2の仕組みを残せるので、互換性は保てます。こうなります。
左側、青いのがCloud Foundry V2のレイヤ、右の茶がDiegoのレイヤ、真ん中にV2とDiegoの橋渡しのレイヤがあり、下のレイヤは共通しているものと分類しています。上にあるのがルーティングするレイヤですね。
V2へのリクエストはいままでどおりCloud ControllerからDEAにいきます。
Diegoへのリクエストは、Cloud Bridgeを通してReceptorに届きます。
DiegoのAPIはV3 APIが定義されていて、Diegoを呼び出したいときにはこのAPIを使います。
将来的には、橋渡しとなるRoute EmitterやCC Bridgeは廃止され、それぞれRouterやCloud Controllerにマージされる見通しです。
Diegoは現在「Production Beta」ですが、この資料作成の途中でもまだ仕様変更が起きたりしていますので、近いうちに出るのは本当だろうかという気もします。
ただDiegoがリリースされば、どのベンダもDocker対応という文句を使いたいと思うので、こぞって対応サービスが出るのではないかなと思います。
公開されている資料「Cloud FoundryでDockerも.NETも。新しいDiegoの仕組み入門 - SlideShare」
関連記事
あわせて読みたい
自動ビルド環境を作り上げることで、開発効率もコードの品質も向上させよう[PR]
≪前の記事
Cloud Foundryの次バージョンでDockerや.NET対応を実現する「Diego」の内部構造は?(前編) 第25回PaaS勉強会