元AWSエバンジェリスト堀内氏が話す、クラウド時代に向き合うエンジニア像のこれから(後編) July Tech Festa 2015
7月26日に産業技術大学院大学にて「July Tech Festa 2015」が開催されました。
基調講演に登壇したのは、元AWSエバンジェリストの堀内康弘氏。クラウド時代のエンジニアはどのようなスキル、マインドを目指すべきなのか、独自の見解を、ソーシャルゲーム企業のCTOやクラウドのエバンジェリストなどの経験に基づいて紹介してくれます。
(本記事は「元AWSエバンジェリスト堀内氏が話す、クラウド時代に向き合うエンジニア像のこれから(前編) July Tech Festa 2015」の続きです)
一緒に働く仲間や尊敬できるアニキを見つける
で、4つ目ですね。エンジニアとして生きていく中で、ここで紹介していることは全部重要だろうと思ってるんですけども、中でも大事なのはやっぱり一緒に働く仲間ですとか、尊敬できるアニキとか、こういった人を見つけられることと思ってるんですね。
僕が出会ったイケてるアニキ、仲間たち、ということで紹介をしますと、必ずしもエンジニア、スーパーエンジニアの方たちだけじゃないんですね。
10年以上前、Shibuya.pmで宮川さんっていう方がリーダーでやられていた頃、僕はPerlが好きだったんで参加してみたんです。当時は型をしっかりするためのモジュールとかそういったものを使ってオブジェクト指向で作るということを知らなくて、もうただずらずらずらっとグローバル変数を使ってプログラムを書くような書き方をしていたので、もう自分と違うPerlを書いている人たちがいっぱいいたんですね。
これで僕はもう一発でPerlに興味を持ちまして、本をいっぱい買って毎日それを読んで技術を磨いていったっていうのがあります。この出会いがなかったらそういうことは起こらなかったでしょうし、こういう人たちになりたいなと思って勉強もしましたし、いろいろ真似したんですね。
当時ブログが流行ってて、こういう人たちは自分でブログを立ち上げて情報を発信している人をかっこいいなと思って真似したり。そうして情報を発信していったことが自分の財産にもなって、そうしたことを目に留めてくれる方が現れる。
経営者の方などからも、イケてるエンジニアがいるらしい、っていうふうに見てもらえる、こういったことにつながったのかなと思います。
でですね、僕は非常にいい社長やパートナーといいますか、に恵まれたなと思っているのですね。ブイキューブの社長の間下さん、gumiの国光さん。まあ巷ではけっこうひどい言われようだったりもしますけども、すごくいい人なんですよね。
国光さんを本当に知っている人は国光さんの悪口をいう人は多分いないと思うんですけども、この2人は非常に明確なビジョンを持ってぶれずにまっすぐ突き進むんですね。
国光さんには、こんなの作れなきゃ変だねえみたいなことを言われてですね、無理難題っぽいことも言われることもありますが、それを解決するのが楽しいみたいな関係性でやっていたんです。こういった経験があったから技術だけにとらわれずといいますか、ある意味幅広い視野を持ったのかも、というふうに思ってます。
この方はたぶん有名ではない方なんですけども本当に僕の師匠、師匠といいますかビジネスのイロハを教えてくれた天野さんという方がいまして。彼は10歳ぐらい歳上なんですけども、商社で働いててそこでITを使った部品のカタログ販売、これが当時すごく画期的でいろいろ成功を収めた方なんです。
彼はエンジニアじゃないですね、本当にビジネスのイロハを教えてくれて。「堀内くんなんでそこでPerl使ってるの?」とかですね、自分もこれがいいと思ってやってるんですけども、横から「それ、おかしいよね」って言ってくれる方ですね。
あとはAWSの元エバンジェリストで今はソラコムという会社を立ち上げて起業して頑張っていらっしゃる玉川さんですね。玉川さんはこの圧倒的なスペックで、もう経歴から何から規格外でですね、しかも弱音を聞いたことがないというか、つねに前向きで人を助けようとしている。こういった方に出会って刺激を受けて、自分というものが今作られてるのかなと、振り返ってみると非常に感じるんですね。
どうやったら出会えるのか?
じゃあどうやったらこういう人たちに出会えるのか。
多くの出会いはコミュニティですね、先ほどお話ししたようにShibuya.pmは勉強会をするよコミュニティだったんですけども、参加することによっていつもすごく刺激を受けていました。
それから玉川さんとはJapan、AWSユーザーグループ、「JAWS」です。僕がgumiでCTOをしていたときに玉川さんはAWSのエバンジェリストでですね、そのときの出会いで、玉川さんの考え方はすごいなと、エバンジェリストはかっこいいなと、それがエバンジェリストになる1つのきっかけになりました。
あとは、イベントに登壇するっていうのがあります。イベントは、参加するのも大事なんですけれど、実はこうして登壇して話す。例えば勉強会のLTをするだけでもいいと思うんです。登壇をすることによって、大きな出会いとかきっかけが生まれている気がしています。
実は国光さんとの出会いも、当時の私は動画共有サービスを作っていたんですけども、そうした運営者が集まったセミナーを開くというときにお話をさせていただいたんですね。そのときに国光さんは映画の会社の役員をやられていて映画のプロモーションで動画を扱えないかというような視点で参加されてたんですけども、そこから映画のプロモーションをお手伝いしたっていうのが実はきっかけだったりします。
こういった形で何かをアウトプットする、登壇もそうですし、今でしたらブログなどで情報発信というのはいくらでもできますので、アウトプットし続けるってところはひとつ自分を魅力的に見せるという意味でも大事かなと思います。
スタートアップのCTOになろう
そろそろまとめです。1つ目には、変化を楽しむ柔軟性を持とうというお話をさせていただきました。世の中変化するのは必然ですので、それを楽しまないとですね、なかなかエンジニア、この世界を生き残っていくのはちょっと難しいでしょ、ということですね。
2つ目には、どの技術がヒットするか分からないし、何をやったらいいか分からないけれど、そこは直感を信じましょうと。直感を磨くためには、4つ目でお話ししたイケてるアニキを見つける、コミュニティに参加する、まあこういったことが必要だと思っていることにつながると思います。
そして、これだと思ったもの、これは楽しいなと思ったものには時間を費やして自分のものにする、という形でやっていただくというのが良いのかなと。
そこでつねに頭に置いておいていただきたいのが、技術は手段ですよと、技術が楽しいからやっている、楽しいのはまあもちろんそうなんですけども、何か課題があってそれを解決するために技術を使うんだ、そのためにこの技術を習得するんだと、実はこれが一番早く技術が身につく方法でもあるんじゃないかなとは思ってるんです。
じゃあ実際にこれ実践しようと、これからアクションしようと思ったときにどうしたらいいのかなと。これがですね、まるまるできる仕事といいますか環境があるんじゃないかと思ったんですね。
これを最短で身につけるにはと。ちょっと突拍子もないんですけども、CTOっていう選択肢、スタートアップCTOです。
何を言っているんだと、いうことになるかも知れませんが、スタートアップCTOっていっぱいいるんですね、実は。で、いっぱい募集もしてます。
CTOになる、そうすると毎日が技術的な話以外でも変化の連続です。これを楽しんでるとなんかこう生きる力がついてくるんですね。で、楽しいと思ったことにのめり込む。CTOですから、自分がこれだと思ったらそれを採用できます。
僕がgumiにいたときに、AWSがいいなと思ってから5日ぐらいで物理サーバからAWSに移行するっていうことをやったりしてきましたし、決定権ありますよね。
技術は手段であると心得よう、これが身についてきたのはスタートアップでCTOをやってたからかなと思います。目の前にたくさんの課題があって、それを解決しないと会社がつぶれちゃうんです。だから技術が否が応でも身につくかなと。
僕はgumiのときCTOやってました。FlipClipっていう会社でもやってたんですけども、なんでCTOになったか。エンジニアが僕しかいなかったからなんですね。そういったレベルでなれるんですよ。
なので、スタートアップで飛び込んでCTOやると、これはいい手かなと。いま多くのスタートアップに関わってるんですけども、どの企業もエンジニアが足りない、CTOになってくれる人はいないですかねと、こういった相談がすごい多いんです。
正直そんな人なかなかいないんでですね、紹介するの難しいんですけども、仕事はある、需要はある。だから、これは冗談で言っているわけではなくて、けっこう大きな選択肢としてありだと思っています。
しかも最近は会社の規模もどんどん小さくなっていますよね、小さい規模で数人でも会社は回って、すごい大きな会社を打ち倒すなんてことは、技術の進化、技術革新の上でよく起こっていることです。
その中で、エンジニアが僕しかいないからCTOになると。CTOになるってのはすごく偉い人になるようなイメージありますけどもそんなことないんですね。その会社の技術をリードする人間である、それだけですね。
あともう1つ付け加えると、給料とかそういった面を考えてもですね、実はスタートアップでエンジニア、給料は普通にけっこうもらえます。なのでですね、リスクなくって言うのは語弊がありますけども、そんなにチャレンジするのに思ったほどリスクはないということです。
勇気さえあれば、飛び込む気持ちさえあれば、いつでもこれは実現できることだと思いますので、ぜひ1つの選択肢として、こういった考え方を持っていただけるといいのかなと思ってます。レッツチャレンジということで、僕の話を終わりにしたいと思います。ご清聴どうもありがとうございました。
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