「Amazon AuroraはDBMS市場を破壊する存在」とガートナーが分析
クラウドネイティブに開発されたデータベース「Amazon Aurora」は、クラウドだけでなくオンプレミスも含めた既存のデータベース市場の破壊的存在であるというレポート「Amazon Aurora Disrupts DBMS Market With Cloud-Native Offering」を、米調査会社のガートナーが8月3日付で公開しています。
Amazon Auroraは、Amazonクラウドが2014年11月のイベント「AWS re:Invent 2014」で発表した、MySQL互換のデータベースサービスです。クラウドに最適化したクラウドネイティブなデータベースとして、商用リレーショナルデータベース並の性能と機能を低価格で提供するものとされています。
発表後、プレビュー版を経て先月末から正式版としての提供が始まりました。
ガートナーのレポートは、次のようなサマリで始まっています。
Amazon Web Services’ RDS for Aurora is transformational for the dbPaaS market. Aurora’s availability, scalability, performance and low cost should make it a primary DBMS consideration for CIOs, DBAs and information managers.
Amazon Web ServiceのRDS for Auroraは、dbPaaS市場の転換点である。Auroraの可用性、スケーラビリティ、性能、そして低コストは、CIOやDBA、情報マネージャらがAuroraをプライマリなDBMSとして検討すべきものにしている。
Amazon Auroraはそもそも、リレーショナルデータベースをクラウドに合わせてもう一度実装するとしたらどうなるのか、という発想を基に、スケールアウト可能で自己修復可能なデータベースを実現しようとAmazonが開発したものです。主な特徴は、以下のようになります。
- MySQL
5.75.6互換。クラウドに最適化した独自ストレージエンジンやログエンジン - データはSSDベースのディスクアレイに10GBずつ分散して書き込まれ、高い並列性を実現
- データ量に合わせて64TBまでストレージが自動的に拡張される
- 書き込みデータが失われないよう、 3つのアベイラビリティゾーンを使用し、アベイラビリティゾーン毎に2つのディスク(合計6つ)にコピーを持つ
- 従量課金
Amazon Auroraが発表された時には、1分あたり600万回のインサート、3000万件のセレクトが可能だと、その高性能ぶりが説明されていました。
また、クラッシュからのリカバリは数秒で、キャッシュプロセスが分離されているためデータベースが再起動してもキャッシュはそのまま利用可能なためウォームアップ不要。リードレプリカがマスターへ昇格するような操作もデータロスなく数分以内に完了すると堅牢性も説明されています。
一般に、既存のリレーショナルデータベースは、ローカルなネットワーク上にある数台から数十台のクラスタを基盤にスケーラビリティや冗長性などを高めてきました。一方で、Auroraのスケーラビリティや冗長性は最初からクラウドを前提としています。それがAuroraが備える特徴や優位性に結びついているわけです。
ガートナーはレポートでAuroraのこうした特徴を挙げつつ、Auroraは競合であるマイクロソフトやオラクルのデータベースを圧倒しようとしており、クラウド基盤の魅力を一層高めていると指摘。
we believe that Aurora will be game-changing in the DBMS market not only as an alternative for current dbPaaS implementations (effectively killing RDS for MySQL) but as a serious alternative for many on-premises applications previously not considered for cloud implementation.
私たちはAuroraがDBMS市場のゲームチェンジャーになるとともに、dbPaaSのみならず、これまでクラウドで実装することなど考慮されてこなかったような多くのオンプレミスアプリケーションを置き換えていくものになるだろうと信じている。
さらに上記のように、Auroraはオンプレミスのデータベース市場にまで影響を与えるのではないかと予想しています。
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