マイクロソフト、米国外のデータセンターに保存された顧客メールの提出を命じた米当局に抵抗し控訴。Amazon、シスコらも支持
マイクロソフトがアイルランドのデータセンターに保存しているユーザーの電子メールを、米当局が提出を求めている問題で、マイクロソフトは令状の差し止めを裁判所に要請して控訴したことが海外で大きく報じられています。
- Microsoft Email Case Tests Power of Search Warrants - WSJ(日本語版)
- U.S., tech industry fight over email privacy heads to appeals court | Reuters(日本語版)
- Microsoft Says Handing Over Irish Emails Could Start 'Global Free-For-All' - NBC News
- Microsoft Argues for Data Security in Landmark Court Appeal - Bloomberg Business
報道をまとめると、マイクロソフトがアイルランドのデータセンターに保存している、あるユーザーの電子メールを、2013年12月に米当局が捜査令状に基づき提出を要請。捜査は薬物捜査の一環とされ、対象となった顧客はダブリンに住む個人。
マイクロソフトは要請に抵抗し裁判で争い、2014年8月の第一審ではマイクロソフトが裁判所侮辱罪となる判決が下されました。
関連記事:米国企業が運営するクラウドでは、犯罪捜査を理由に米国外データセンターのデータを米国政府が閲覧できるか? 米国政府と米マイクロソフトが係争中 - Publickey(2014年8月5日)
同社は先日、これを不服として、マンハッタンの第二巡回区連邦控訴裁判所に令状の差し止めを求め控訴。数カ月後に判決が出る見通しとのことです。
Amazon.comやシスコシステムズ、ベライゾン・コミュニケーションズや米商工会議所などはマイクロソフトの支持を表明しています。
日本のデータセンターにも米国の捜査権が及ぶ可能性
海外に存在するデータセンター内のデータであっても、技術的には国境を越えてそのデータを取り出すことは容易なことです。しかし法的に見て、米国に本社がある企業が米国外で運営するデータセンターのデータに、米国連邦政府の捜査権が及ぶのかどうかが、今回の焦点となります。
もしも、米国外のデータセンターにも米国の捜査権が及ぶとなったら、当然、日本におかれたデータセンターにも米国の捜査権が及ぶことになるわけです。米国に本社を置くクラウド事業者、データセンター事業者にとってこれは大問題でしょう。
マイクロソフトは2014年8月に第一審の判決が出た時点で次のような声明を発表しています。
クラウドに保存されたメールは、紙で送付された郵送物と同じようにプライバシーが守られるとマイクロソフトは信じています。これはつまり私たちの視点では、米国政府は憲法修正第4条の下でのみメールを取得できるということです。
米国での判決は、日本のクラウドユーザーにとっても注目すべき状況になっています。
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