富士通がオープンソースに貢献したらこうなった。第26回 PaaS勉強会
エンタープライズの市場でもオープンソースの存在感は高まり続けています。そうした中で、富士通がオープンソースのPaaS型基盤ソフトウェアであるCloud Foundry Foundationへの参加を表明し、自社のクラウドサービスでCloud Foundryの採用を進めています。
富士通のような企業がどのようにオープンソースへの貢献を進めているのか。第26回 PaaS勉強会のセッション「富士通次期クラウドとCloud Foundryの甘い関係(仮」の内容をダイジェストで紹介します。
Clooud Foundryが仕事になりました
高橋と申します。Twitter IDは「@tnaoto」です。日本Cloud Foundryグループの監事もやっています。今日は富士通の“方”から来ました(笑)。
お決まりとして、こんな感じでやっていきます。
僕はCloud Foundryを個人的にずっと見てきて、やってきた人です。
そんな去年のある日、(富士通が)Cloud Foundry Foundationに参加すると表明がありまして。でもそのときは僕の仕事とは関係なかったので、ほぼ他人事だったわけです。
それが6月からCloud Foundryが正式なお仕事という形になりましたので、それを期に、富士通の“方”からやってきた者として、今日はいろいろご紹介させていただこうと思っています。
富士通もコミュニティに貢献していきます
とはいえ、皆さんは富士通のクラウドってご存じないと思うんです(笑)。なのでここでちょっと広告です。富士通は「FUJITSU Cloud Initiative」というのがあって、いろいろ無茶苦茶多いんですが(笑)。
パブリッククラウドで、Cloud Foundryはこの辺です。
「K5」(ケーファイブ)というのはオープンテクノロジーをベースに、富士通のナレッジを詰め込んだパブリッククラウドをやりますと。KというのはKnowledgeで、富士通のSEが持つ業務ノウハウです。で、オープンテクノロジーというのがこれですね。
これからは富士通もコミュニティに積極的に貢献していきますと。で、広告はここまでです。
内部仕様のドキュメントをExcelで作成
このK5で、富士通のCloud Foundryをどうやって見せていくのかと。クラウドネイティブ基盤サービスです。基盤としてデファクトスタンダードのCloud Foundryを活用しましょうと、こういう話です。
そこでいろいろやっているわけですが、開発をするときにけっこう問題点がありました。
例えば、内部仕様がドキュメントになってないとか。Windowsで試そうとしても動かないとか、いろいろありまして。
これらをどう開発したかを紹介したいと思います。
まず内部仕様を解説したドキュメントがないと。コンポーネントはいくつあるの? APIはどうなってるの? ログはどんなのが出るの? とか。GitHubのリポジトリを見ても、いっぱいあってよくわからないよと。
最近では草間氏の資料「Cloud Foundryは何故動くのか」などが良い素材ですが。
それでわれわれ大手SIerが取り組むとどうなったか。
「ちょうかんず」です(笑)。英語で言うとカッコイイのですがBird's eye viewですね。
これを作ってみました。どうなったでしょう? こうなりました!
細かくて分からない!(笑)
ポイントはこの左端です。見えますか? Excelです!(笑)
これだと分からないのでズームします。これはCloud Controllerの部分で、プロセスがどうログを吐くとか、1つずつ一生懸命作ったんですね。
(会場から「すげぇ」のため息)
それからAPIの図も作りました。これはcf startのところです。
こういうのないですよね。オープンソースでは。こういうのを作って作業工数を見積もるということをした人が社内にいます。その人は一言。
「つらい」
って言ってました。
とはいえ、プロセスやインターフェイスが明確になり情報共有しやすくなったり、プロセスやログファイルが明確になることで、コードリーディングやデバッグ作業が進めやすくなったと。
この鳥瞰図は、ほしい人がいるのか分かりませんが、コミュニティに返すと言っているので、期待していてください。
(会場拍手)
Windowsでも試せるように
2つめ、Windowsの上でCloud Foundryが動かないんですね。bosh-liteがWindows上のVagrantで動かないという問題です。手元で動かないと、調査も手間がかかると。
で、動かないなら直せばいいということで、これも頑張って直した人がいます。いま動くらしいのですが、私は試していないので分かりません。
もしどなたか試して動いたら、ありがとうと言ってやってください。
いろいろ気になっちゃう体質
3つめ、テストが少ない。品質は担保されているの? と、どうしても大きい会社なので気になっちゃう体質なんです。
なので頑張って、利用者視点でのテストを追加してプルリクを出したんですが、システム全体との観点が違うということで却下されてしまいました。
とはいえ、今後もこういう取り組みはしていきますので、プルリクを見たらぜひプラス1してやってください。
4つめ、bosh releaseに含まれるモジュールのライセンスが不明確という問題。これもライセンスが分からないと気になっちゃう体質なんです。
なのでこれも頑張って議論して、プルリクを出して、こちらは入れてもらえました。
ほかにも正式リリース時には富士通っぽくないですが、無償枠なども検討しているとのことで、ハッカソンなどで頑張ってだしていこうと考えているそうです。
そういうわけでサービスのリリースに向けて頑張っています。ただ、いつから使えるの? いくらなの? というのは僕も分からないので富士通の営業をつかまえて問いただしていただければと思います。
公開されている資料「FUJITSU-meets-CloudFoundry」
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