x86サーバの開発に取り組むマイクロソフトとx86サーバの事業を手放すIBMと
IBMがx86サーバ事業を手放し、レノボに売却するという大きなニュースが流れたのは1月下旬。その後、IBMと長年付き合いのある企業の情報部門責任者のお話しを聞く機会がありました。その方曰く、「x86サーバはコモディティ化しつつあるとはいえ、先端技術を持ち信頼できるベンダだからIBMから調達してきたのに。大変残念だ」とのこと。
しかしこの方は一方で、次のようにも話します。「5年後を考えれば、いまと同じように物理サーバを調達しているかと言えば疑問だ。効率性や迅速性を考えると、パブリッククラウドの利用は間違いなく広がるだろう」。
この発言に表れているように数年後の動向を考えれば、IBMのx86サーバ事業と競合しているのはヒューレット・パッカードやデル、シスコなどのシステムベンダーではなく、Amazonクラウドのようなクラウドベンダなのです。
IBMはx86サーバ事業を手放す一方、同社はSoftLayerのようなクラウドベンダを買収し、データセンター事業に1200億円もの投資をするという決断をしました。
真剣にx86サーバの設計に取り組んできたマイクロソフト
IBMとは逆に、ソフトウェアベンダであったはずのマイクロソフトがせっせとx86サーバの開発に取り組んでいたことを、1月末に発表されたマイクロソフトのOpen Compute Project Foundationへの参加にあわせて明らかにしました。
マイクロソフトは右図をはじめとする自社のデータセンター用に設計したx86サーバの情報を公開し、マイクロソフト自身が、真剣に市場のx86サーバ製品を超えるサーバの設計に取り組んできたことを明かしています。
Microsoft has designed an innovative system architecture that we believe will drive design and operational efficiency beyond the conventional commodity servers currently available in the market.
マイクロソフトが設計してきた革新的なシステムアーキテクチャは、現在市場で調達できる一般的なコモディティサーバを超える効率的な運用と設計を実現していると信じています。
似たような取り組みは、Googleも、Amazonも、Facebookも、eBayも、大規模なデータセンターを保有する多くの企業が取り組んでいます。クラウドを提供する企業にとって、より効率の良いサーバを開発することは競争力の重要な一部になっているからです。
ハードウェアの製造販売が本業の1つだった企業がx86サーバ事業を手放し、ソフトウェアの開発販売が本業だった企業がx86サーバの開発に真剣に取り組んでいる。クラウドの登場が業界全体をひっくり返している、いまはまさにその真っ最中です。
ところで、クラウドに注力するIBMがマイクロソフトやAmazonやGoogleらがそうしているように、SoftLayerのために再びx86サーバを作り始める、なんてことはないのでしょうか。
あわせて読みたい
Windows AzureがOracle DatabaseとWebLogicのプリロードVM提供、3月12日開始。1時間あたりOracleで113円から
≪前の記事
モバイルBaaSのStackMobが5月でサービス終了を発表。買収されたPayPalのモバイル強化へ注力