x86サーバにコミットし、ソフトウェア分野の攻勢を強めるブロケードの新戦略
ブロケードコミュニケーションズシステムズといえば、イーサネットスイッチやSANスイッチなどのネットワーク機器で知られている会社です。しかし同社CEOのロイド・カーニー(Lloyd Carney)氏は、このハードウェア中心のブロケードのビジネスを、Vyattaを核とするソフトウェアのビジネスによって大きく変えようとしています。
ローエンドのネットワーク機器はなくなっていく
12月5日に都内で行われた記者会見でロイドCEOは、「スマートフォンの登場でローエンドのカメラ市場がなくなろうとしているのと同様に、ローエンドのネットワークスイッチはなくなっていくだろう」と発言。ローエンドのネットワークスイッチはx86サーバ上のソフトウェアで実装されたネットワーク機能に置き換えられていき、ハードウェアとしてのネットワーク機器はコアルータやスイッチのようなハイエンドなものしか残らなくなるとの考えを示しました。
そこで同社にとってビジネス上の重要度が増しているのが、2012年に買収したVyattaです。買収当時のVyattaはソフトウェアルータの名称でしたが、現在は同社のネットワークソフトウェアを包括するブランド名となっています。今年の10月には「Vyatta Conroller」という名称でOpenDaylightベースのSDNコントローラを発表しています。
「ブロケードはx86サーバにコミットしている」とロイドCEO。つまりネットワーク機能をソフトウェアで実現するときのハードウェアプラットフォームとして同社はx86サーバを選択した、ということです。これまでハードウェアとしてネットワーク機器を販売していたベンダのCEOとしては非常に大胆な発言でしょう。
x86サーバの性能向上とともにネットワーク機能もサーバが包括していくのはインテルの方向性として明らかです。ブロケードはそれを徹底的に利用するソフトウェアベンダとしての色を強める新しい戦略に打って出ています。
なぜブロケードがそのような戦略を選ぶのかといえば、ブロケードにとってこのローエンドスイッチやルータの分野では守るべき大きな売り上げがなく、かつインテルと協力して競合を脅かせるからでしょう。そしてこの戦略が成功すれば、ブロケードはいずれ、ネットワーク機器ベンダではなく、例えばVMwareのようにソフトウェアでネットワーク仮想化やネットワーク機能の仮想化を実現するソフトウェアベンダのように認知され、また競合していくということになるのかもしれません。
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