VMware、Dockerのような独自の新技術「Project Fargo」発表。1秒以下で仮想マシン起動を実現。VMworld 2014
VMwareはサンフランシスコで開催中の「VMworld 2014」において、急速に普及するコンテナ技術の1つであるDockerとの協業を発表し、積極的にVMware製品群で対応することを明らかにしました。
その一方で同社はDockerのような、仮想マシンをまるでコンテナのように軽量に扱える独自の新技術「Project Fargo」の存在を明らかにしました。その概要がVMware CTO, AmericasのChris Wolf氏がポストしたブログ「VMware and Docker – Better Together」で説明されています。
これを基にProject Fargoがどういうものか、紹介していきましょう(ただしPublickeyによる推測を交えているため、必ずしも正確ではない可能性があります)。
Dockerの実装技術を仮想マシンにも応用
「Project Fargo」は、簡単に言えば仮想マシンの差分クローンを高速かつスケーラブルに実現する技術を基盤としています。仮想マシンから差分クローンによって生成されるのが「子仮想マシン」(Child VM)で、この子仮想マシンが(Dockerに代表される)コンテナ技術におけるコンテナに相当します。
そしてこの子仮想マシンには、次の利点があります。
- 子仮想マシンは1秒以下で起動
- 子仮想マシンが必要とするメモリ容量、ストレージ容量の小ささ
子仮想マシンは、元になる仮想マシンから生成されると、元になる仮想マシンのメモリ領域を書き換えることなく、その差分だけを持つようです。また子仮想マシンがストレージに何かを書き込む場合、元となった仮想マシンのデータに対する差分だけがストレージに書き込まれます。
子仮想マシンの起動時には元の仮想マシンの差分だけをハイパーバイザ上に展開すればよいため、高速な起動や小さなメモリ領域を実現し、ストレージ領域も差分だけを保存できればいいため、小さなストレージ領域を実現できる、ということのようです。
これはDockerの内部実装で使われている、差分だけを書き込む「Copy-on-Write」と基本的に同じ技術を利用していると言っていいでしょう。
参考:今からでも間に合うDockerの基礎。コンテナとは何か、Dockerfileとは何か。Docker Meetup Tokyo #2 - Publickey
Project Fargoが実現すると、従来の仮想マシンの利点はそのまま、コンテナのような高速なプロビジョニングを実現すると、VMware CTO, AmericasのChris Wolf氏は次のように書いています。
For enterprise applications, imagine getting the speed of containers-based provisioning but maintaining all of the VM-level goodness that you count on (such as security isolation, infrastructure portability, and centralized management).
エンタープライズアプリケーションにおいて、コンテナのようなプロビジョニングのスピードを得つつ、仮想マシンレベルの信頼性などの利点をすべて得ることができる(例えばセキュリティ分離、インフラのポータビリティ、そして集中管理)。
VMworld 2014の基調講演で同社CEOのパット・ゲルシンガー氏は、VMwareが目指すSoftware-Defined Data Centerにおいて、Dockerをサポートすると同時にvSphereのレイヤでコンテナをサポートすると説明しています。このvSphere内部におけるコンテナ実装は、おそらくProject Fargoのことではないかと推測されます。
つまりVMwareはProject FargoをDocker対抗と位置づけるのではなく、両方を共存させ、どちらも自社製品でサポートしていくつもりのようです。
Project Fargoは現在開催中のVMworld 2014ではじめてプレビューが公開されました。製品化の時期などは明らかになっていません。
VMworld 2014
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