VMware/Cisco/EMCが合弁で設立したVCE、EMCの傘下に
シスコとEMC、VMwareの3社が、VMwareの仮想化ソフトウェアに最適化した垂直統合システムを提供するために、2009年に合弁で設立した企業がVCEです。同社がEMC傘下となることが22日(日本時間23日)に発表されました。
VCEは設立以来、シスコのサーバとネットワーク機器、EMCのストレージを組み合わせ、VMwareのソフトウェアをインストールした「Vblock System」を提供してきました。今月も新製品としてオールフラッシュのストレージを採用した「Vblock System 540」などが発表されたばかりでした。
VCEはEMCの傘下になったあとも引き続きシスコ、EMC、VMwareの3社の製品によるVblock Systemsの提供を続けていくとされています。下記はプレスリリースから。
VCE will continue to advance new solutions based on its industry-leading Vblock® Systems, which feature best-of-breed technologies exclusively from Cisco, EMC and VMware.
VCEは引き続き市場をリードするVblockシステムによる先進的なソリューションの提供を続けていきます。それはシスコ、EMC、VMwareだけから提供される優れた製品によるものです。
ハードもソフトも独自路線を強めてきたシスコ
VCEがEMCの傘下になったのは、3社の中でも特にシスコのVCEに対する事情が大きく変わったことが最大の理由ではないかと推測されます。
シスコは自社製品として持っていたネットワーク機器とUCSサーバに加えて、2013年3月にはフラッシュストレージベンダのWhiptailを買収。自社製品だけでサーバ、ネットワーク、ストレージを揃え、垂直統合システムが提供できるようになりました。ストレージをEMCに頼る必要がなくなったのです。
ソフトウェアの面ではVMwareとの路線の違いが明確になってきました。それまでネットワーク機能を持たなかったVMwareから、ネットワーク仮想化を実現するVMware NSXが登場しました。VMware NSXはソフトウェアでネットワーク機能を実現するため、物理的なネットワーク機器の重要性を低下させる方向へ進化しています。
一方でシスコは2013年11月にネットワーク戦略であるACI(Application Centric Infrastructure)を発表、対応するネットワーク機器群も発表し、引き続き物理的なネットワーク機器の重要性を訴えています。ネットワークにおけるVMwareとシスコの路線の違いは明らかです。
さらにシスコはクラウド基盤としてOpenStackへのコミットも表明。VMwareだけでなく、OpenStackという選択肢についても真剣に検討し始めています。
もちろんこうしたVCE設立時と比較して事情が変わったのはシスコだけでなく、VMwareにもEMCにもあるでしょう。その中でも特にシスコはハードウェアもソフトウェアもVCEとは異なる方向への独自路線を強めたことが、今回のVCEのEMC傘下ということにつながったのではないかと思います。
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