SAPとIBMがクラウドで協業を発表。IBMがSAP HANA Eenterprise CloudをSoftLayerで提供
欧SAPと米IBMはクラウドに関して協業し、SAPが提供するSAP HANA Enterprise CloudをIBMのクラウドで提供すると発表しました。
SAPはこれまで基幹業務を支えるERPのためのクラウドサービスとして同社のデータセンターで「SAP HANA Enterprise Cloud」を提供。日本にも今年の4月に東京と大阪のデータセンターを開設するなど、積極的な展開をしてきました。
今回の協業では、SAPがビジネスクリティカル・アプリケーションのクラウド・インフラストラクチャー・サービスの戦略的重要プロバイダーとしてIBMを選出。今後、SAP HANA Enterprise CloudがIBMのクラウドから利用できるようになり、IBMはこれにマネージドサービスや他のクラウドサービスなどを組み合わせた提供が可能になります。
SAPとIBM、技術的な共通点と補完するクラウド戦略
SAPがSAP HANA Enterprise Cloudのために構築した自社クラウドでは、セキュリティとパフォーマンスを最大化するために、専用のネットワークとベアメタルサーバ群を顧客ごとに提供することが大きな特長の1つです。IBMのSoftLayerも顧客ごとのベアメタルサーバとネットワークは特長の1つとなっており、このデータセンターにおける技術的な特長の共通点が協業の背景にあるでしょう。
またIBMはSoftLayerのデータセンターをグローバルに拡大するため、1200億円の投資を行うと今年の1月に発表しています。基幹業務のクラウド化を検討する企業にとって、データセンターが自国内にあるかどうかはセンシティブな問題で、SAPがその要望に応えて自社でデータセンターをグローバル展開するよりも、IBMと組むことで速いスピードでユーザーのニーズに対応することが可能になります。より早くERPのクラウド化を促進できるでしょう。
一方のIBMにとっても、SoftLayerをエンタープライズ向けに差別化しアピールできるサービスとしてSAP HANA Enterprise Cloudはうってつけのもの。この協業は、先行するクラウドベンダ-を追いかける両社にとって、お互いの戦略をうまく補完できるものになりそうです。
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