新しいアプリケーションアーキテクチャは従来のネットワークトラフィックのパターンを変えつつある。ガートナー
米調査会社のガートナーは、これまでのような企業のデータセンターがトラフィックの中心であるようなアプリケーションのモデルから、モバイルアプリケーションやWebアプリケーションといった新しいアプリケーションアーキテクチャの登場によって、ネットワークトラフィックのパターンが変わってくるだろうと予想していることを発表しました。
具体的には、従来のようにアプリケーションがすべて企業のデータセンター内で稼働し、すべてのユーザーがそこへアクセスすることで、トラフィックがデータセンターに集中するモデルから、次のような変化が起きていると指摘。
- リモートユーザーが直接クラウドサービスへアクセスする。これによって、トラフィックは企業のWANをバイパスするとともにデータセンターを経由しなくなる
- モバイルアプリケーションは、直接モバイルアプリケーションプロバイダーへアクセスし、そこからデータセンターへセキュアなゲートウェイ経由で接続される。これもトラフィックが企業のWANをバイパスし、外部サービスからデータセンターへの接続となる。
- ブラウザベースのアプリケーションは、企業内外の複数のデータソースなどに対して同時にアクセスを行う統合ポイントとなる。これもアプリケーションの一部のコンテンツは企業用WANを経由しなくなる
こうしたトラフィックパターンの変化は、従来はセキュリティはアクセスコントロール、アプリケーションデリバリコントローラ、WAN高速化装置といったものを企業のデータセンターを中心に配置していけば良かったというモデルから、新しいモデルへとアーキテクチャの変化を引き起こしていると指摘しています。下記はガートナーの発表から。
Application delivery professionals should move from a model of physical devices allocated to specific applications, to one that takes advantage of physical, virtual and cloud resident service elements to support the new device-/browser-/cloud-centric environment. By shifting to a service mindset, application delivery capabilities can be inserted where and when they make sense.
アプリケーションデリバリの専門家は、物理デバイスを特定のアプリケーションのために用意するというモデルから、新しいデバイスやブラウザ、クラウド環境をサポートするための物理、仮想、クラウド上のサービス要素の利点を得ていくというモデルへと変わっていかなくてはならない。サービスというマインドセットへのシフトにより、アプリケーションデリバリの機能はそうあるべきという場所、時間に挿入されることになる。
アプリケーションが分散アプリケーション化し、複数のクラウドやデータセンターの連係によって動作するようになり、そこへアクセスするデバイスもモバイルやWebブラウザなどの多様化していく中で、セキュアかつ快適にアプリケーションをデリバリする手段もダイナミックに変わっていくことになる、ということのようです。そのための機器も、サービスもこれまでとは違ったものになっていくのでしょう。
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