国内PaaSはDBaaSとaPaaSの売上げが拮抗。シェア1位はセールスフォース・ドットコム、2位はAmazonクラウド。IDC Japan
IDC Japanは日本国内でのPaaS市場に関する調査結果を発表しました。調査ではPaaSをデータベースのサービス、アプリケーションプラットフォームのサービス、インテグレーションプラットフォームのサービス、ビジネスプロセスマネジメントのサービスの4つに分類し、売上げ実額を分析しています。
グラフを見て分かるように、PaaS市場ではデータベースサービスととアプリケーションプラットフォームがほぼ拮抗していることが分かる点は、なかなか興味深いです。また、2013年上半期には前2四半期と較べて急速に売上げが伸びていることから、今後の大きな成長が期待されます。
シェア1位はセールスフォース・ドットコム、2位はAmazonクラウド
クラウドベンダごとのシェアについては数字やグラフは示されていませんが、以下のコメントが発表資料に記載されています。
2013年上半期におけるPaaS市場のベンダーシェアはセールスフォース・ドットコムが1位、アマゾンが2位でした。セールスフォース・ドットコムはSaaS(Software as a Service)事業で、アマゾンはIaaS(Infrastructure as a Service)事業で作り上げたユーザー基盤を活用し、市場での優位なポジションを形成しています。3位のマイクロソフト、4位のグーグルもサービスラインナップの拡充により高い成長率を実現しています。
これは現在に至るPaaSの状況を非常によく示していると思います。
つまり、マイクロソフトのMicrosoft AzureやGoogleのGoogle AppEngineなど、もともとPaaSから始まったクラウドサービスのシェアは苦戦しており、一方でSaaSから始めたセールスフォース・ドットコム、IaaSから始めたAmazonクラウドが結果的にその強みを発揮して、隣接するレイヤであるPaaSの市場の1位と2位を獲得している、という状況です。
この状況に(とっくの昔に)気がついたMicrosoftとGoogleは、いずれもAzure VMとGoogle Compute Engineを相次いで投入してIaaS機能の強化をはかり、PaaSでの巻き返しを目論んでいます。
興味深いのは結果的にこの2社、MicrosoftとGoogleはそれぞれOffice 365とGoogle AppsというSaaSを展開している割には、自社のPaaSとの緊密な連係が(IaaSとPaaSの連係と較べると)ない点です。今後もこの方針が続くのか、それとも何らかの形でPaaSの巻き返しに関わってくるのでしょうか。
あわせて読みたい
Googleがついにアジア(のどこか)にGoogle Compute Engineのデータセンター設置を発表。管理画面も日本語対応
≪前の記事
マイクロソフト、VMwareの仮想マシンをHyper-VとAzureへマイグレーションできる「Microsoft Virtual Machine Converter 2.0」無償公開