NetAppが2つのフラッシュストレージ製品を展開。激化するフラッシュストレージ市場を勝ち抜くため。NetApp Innovation 2014
大手ストレージベンダのNetAppは、1月16日に都内で開催したイベント「NetApp Innovation 2014」を開催しました。来日した米NetApp社長兼最高責任者のTom Gergons氏は基調講演で、クラウド戦略とフラッシュストレージ戦略を強調。
クラウド戦略では、プライベートクラウド向けの垂直統合アプライアンスの「FlexPod」や、ハイブリッドクラウド向けに自社ストレージとAmazonクラウドを接続する「Private Storage for AWS」などを展開していることを紹介しました。
一方、フラッシュストレージでは、サーバサイドフラッシュ、オールフラッシュアレイ、フラッシュとハードディスクドライブの組み合わせなど、あらゆる場所でフラッシュ技術を採用し、アプリケーション性能の向上に取り組むことを表明しました。
コストパフォーマンスと機能の2つの製品ラインを展開
フラッシュストレージ戦略については、米NetAppシニアバイスプレジデントのBrian Pawlowski氏とバイスプレジデントでFlashRayビジネスユニット担当のTy McConney氏が登壇して詳しく解説しました。
同社は昨年、オールフラッシュのストレージアレイとして「EF540」を出荷していますが、さらにオールフラッシュストレージ専用のアーキテクチャとなる「FlashRay」を現在開発中で、今年中にはリリース予定としています。
なぜNetAppはフラッシュのストレージアレイで2つのラインを展開するのかでしょうか。
McConney氏は、EFシリーズはコストパフォーマンスを重視し高性能向けの設計をし、一方のFlashRayでは「Mars」と呼ぶフラッシュストレージ専用OSを新たに開発し、高機能を志向します。容量や性能のスケールアウトを実現、インライン重複排除、圧縮、シンプロビジョニングといった高度な機能と、ファイバーチャネル、iSCSI、NFS、CIFSなど多様なプロトコルを搭載予定とのことです。
競合がひしめくフラッシュストレージで勝ち抜くには?
フラッシュストレージは多くの新興ベンダに加えてNetApp、EMC、IBMなど大手ベンダの本格参入もこの1年で相次ぎました。下記は今回のイベントでNetAppがその競合の様子を図に示したものです。
この中でNetAppはオールフラッシュアレイ、サーバキャッシュ、ハイブリッドアレイの3つを全て扱う会社としてIBM、EMCと自社を挙げています(ただしNetAppのサーバキャッシュはFusion-ioとの提携)。
そしてオールフラッシュアレイだけを見ても、例えばViolin Memoryはチップレベルから独自技術にこだわった高い信頼性を大きな特徴としている一方で、PureStorageはコモディティサーバとSSDを組み合わせたハードウェアにオンライン重複排除などを搭載して容量当たりのコストの低さを強調するなど、さまざまなバリエーションがそこにはあります。
これは従来のハードディスクドライブを用いたストレージにも低コストな製品から高機能な製品まで、大容量向けの製品から高性能志向の製品まで、さまざまな選択肢があるのと同じことです。当然、フラッシュストレージでもさまざまな要求に対応するために幅広い製品のバリエーションが求められます。
NetAppがオールフラッシュのストレージアレイでEFシリーズとは別にFlashRayを開発しているのは、競合ひしめくフラッシュストレージ市場で勝ち抜いていくためには1つの優れた製品ではなく、さまざまな要求を満たすだけのバリエーションを自社製品のラインナップで充足させることが必要だと考えているためでしょう。
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