日本マイクロソフトとIIJがクラウドで協業発表。両クラウドを閉域網で相互接続、Azureへの直接接続も
インターネットイニシアティブ(IIJ)と日本マイクロソフトは、両社のクラウドであるMicrosoft AzureとIIJ GIOを閉域網で接続することを柱とする協業を発表しました。
IIJの代表取締役社長 勝栄二郎氏と日本マイクロソフトの代表執行役社長 樋口泰行氏は共に、複数のクラウドを使い分けるマルチクラウドがエンタープライズ市場で標準的になっていくとし、そのための協業であることを強調しました。
協業の具体的な内容は、Microsoft Azureのデータセンターに専用線で直接接続できるExpressRouteを利用し、Microsoft AzureとIIJ GIOのクラウドを閉域網で相互接続した「IIJクラウドエクスチェンジサービス for Microsoft Azure」をIIJが提供すること。
これによって利用者はMicrosoft AzureとIIJ GIOのクラウド、さらにオンプレミスのシステムを柔軟に利用できるようになります。「協業によってエンタープライズのお客様もオンプレミスとパブリッククラウドのシステムをつないでサービスを自由に利用できる、ということが実現する」(日本マイクロソフト 業務執行役員 佐藤久氏)。
Microsoft Azureへ直接接続を行うExpressRouteは5月から米国や欧州でサービスが開始されており、IIJは日本初のパートナー。IIJはExpressRouteの再販も行うとのことです。
両社は今後、共同での営業やマーケティングなども行うとしています。
日本マイクロソフトとIIJ、それぞれの思惑
クラウドへの直接接続は、すでにAmazonクラウドのAWS Direct Connect、IBM SoftLayer Direct Linkなどをはじめ多くのクラウド事業者やホスティング事業者などがサービスメニューとして提供しています。
これはエンタープライズ分野でのクラウド利用において、よりセキュアかつ安定的な利用を実現するために、接続経路をインターネット上のVPNではなく専用線での接続したい、というニーズが高まってきているためです。クラウドへの専用線での接続はエンタープライズ向けに欠かせないサービスになりつつあります。
こうした中、Microsoft Azureをエンタープライズ市場に売り込みたい日本マイクロソフトにとってExpressRouteは重要な商材として展開したいと考えていたはずで、エンタープライズ向けの広域ネットワークに強く、既存顧客も多いIIJはこれ以上ない協業相手だといえるでしょう。
一方のIIJにとっても、Amazonクラウドに加え、マイクロソフト、SAP、IBMなどグローバルプレイヤーが相次いで日本国内にデータセンターを設置する中で、これまで順調に成長してきた同社のクラウド事業を今後どう成長させるか考えていたはずです。今回のマイクロソフトとの協業は同社の強みであるネットワーク、クラウドとのシナジーが見込めるものとなるでしょう。
両社長が話すとおり、今後のエンタープライズ市場では複数のクラウドを組み合わせ、適切なコストや冗長性を実現することが広まってくると思われます。今回の協業はそうしたマルチクラウドをにらんでのものであり、今後はほかのクラウドベンダにおいても同様の協業が進んでいくものと思われます。
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