IBMがSoftLayerを買収して約1年。あれからSoftLayerは変わったのか? CTOに聞く

2014年10月20日

IBMが昨年クラウドベンダーのSoftLayerを買収してもうすぐ1年がたちます。当時、ネットサービスなどを展開するスタートアップや中小中堅企業に人気のあったSoftLayerは、いまIBMのクラウドとしてエンタープライズ向けへのアピールの度合いを高めています。

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IBMに買収されたことでSoftLayerは変わったのか。そしてクラウド市場の中でどう差別化をしていくつもりなのでしょうか。SoftLayerのCTO(チーフテクノロジーオフィサー) マーク・ジョーンズ(Marc Jones)氏に聞きました。

年末までには東京データセンターを開設

──── もうすぐIBMがSoftLayerを買収して1年になります。この1年を振り返ってみてもらえますか?

ジョーンズ氏 IBMはSoftLayer買収後も、SoftLayerをそれまでと同様に運営してくれていますし、私たちは引き続き、地上で最高のクラウドプラットフォームになるべく働いています。

買収前のSoftLayerはインターネットビジネスを中心とした中小中堅企業を顧客として焦点を当てていましたが、IBMは大手企業との長期的なリレーションシップに強みがあります。わたしたちも現在では大手企業への関心を強め、また大手企業からの関心も高まっています。

──── エンタープライズへのフォーカスが高まったことで、SoftLayerが注力するテクノロジーに変化はありましたか?

ジョーンズ氏 私たちはエンタープライズの利用者が望んでいたテクノロジーをもともと持っているユニークなポジションにいました。

それはベアメタルサーバでありシングルテナンシーであり、性能への最適化です。エンタープライズのユーザーはセキュリティやパフォーマンスに注目しており、SoftLayerのテクノロジーはこうした要件に自然にフィットするものでした。

──── IBMはSoftLayerのデータセンターに1200億円の投資を行うと、今年の1月に発表されています。進捗はどうですか。

ジョーンズ氏 各国にデータセンターを展開する計画は進んでおり、ロンドン、香港、トロント、今週はメルボルンのデータセンターが開設したばかり。米国にはダラス、バージニアに加えて連邦政府用データセンターも開設した。

東京も年末にはデータセンターを開設予定です。

──── 現在、GoogleやAWS、マイクロソフトなど大手クラウドベンダが価格競争の最中です。これをどう見ていますか?

ジョーンズ氏 私たちはプラットフォームの価値をいかに高めるかに注力していて、ベアメタルサーバやグローバルなプライベートネットワーキングといったものは他社では提供していない、類のないサービスです。

価格競争は意識はしていますが、SoftLayerはIBMの製品やサービス群のポートフォリオの一部なのです。

──── クラウド、特にIaaSの技術はそろそろ成熟しつつあるように見えます。その中でSoftLayerはどうやって生き残ろうとしているのでしょう。

ジョーンズ氏 ハードウェアとソフトウェアの組み合わせが、差別化を作り出すものだと思います。IBMやパートナーと一緒にハードウェアの進歩を加速し、またどのようなソフトウェアやサービスをお客様が求めているのかをつねに探り続けています。私たちはこの組み合わせによって今後もクラウドを前進させていくつもりです。

たしかにクラウドの背後にある技術は一見成熟しているように見えます。しかし私自身、1990年代のホスティングの時代から長年にわたりこの業界に携わってきました。そして、成熟したと思っていた技術から革新が生まれて驚かせられるということに何度も直面しました。

こうしたことが私たちSoftLayerのモチベーションになっていますし、つねに技術やサービスを探求し続けていく理由になっています。

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Junichi Niino(jniino)
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