IBM、半導体事業の売却後もPOWER Systemsなどサーバビジネスは変わらず継続。サーバの設計、研究開発や半導体の基礎研究なども進めると
IBMは同社の半導体事業をGLOBALFOUNDRIESに売却すると発表しました。IBMはこれまでハイエンドサーバのPOWER SystemsやメインフレームのSystem zなどに採用されているPOWERプロセッサや半導体の研究、設計、製造を自社で行っていましたが、今回の事業売却はそれに深く関連するものとなります。
この半導体事業売却によってPOWERプロセッサやPOWER Systems、メインフレームなどのハードウェアビジネスが今後どのような影響を受けるのか、日本IBMに取材したところ、POWER Systemsなどのサーバビジネスはこれまで同様に継続、プロセッサの研究開発や設計なども進めていくとの回答を得ました。
POWER Systemsもメインフレームも継続
今回の売却によってGLOBALFOUNDRIESに移管されるのは、主にPOWERプロセッサの製造に関わる工場、製造技術および技術者で、IBMは今後も半導体の研究開発、およびサーバそのものの開発やアーキテクチャの設計などについては継続するとのことです。
プレスリリース(日本IBMによる翻訳)から引用します。
IBMは本契約の成立によって、半導体の基礎研究と、次世代のクラウド、モバイル、ビッグデータ・アナリティクス、セキュアなトランザクションに最適化されたシステムの開発に一層専念することができます。IBMは、以前に発表したとおり、次世代のコンピューティングを主導するための半導体技術研究に対する5年間にわたる30億ドルの投資を継続します。
米IBMは今年7月に、半導体の微細化限界となる7nmの技術に対する研究開発へ5年で3000億円の投資を発表していますが、この技術もGLOBALFOUNDRIESが優先的にアクセスできるようになります。
POWER Systemzやメインフレームなどのサーバシステムの設計や製造部門もIBMに残っており、サーバ、ストレージなどビジネスはこれまで通りに継続。さらに前述の研究開発を進めていくことで、今後も付加価値の高いシステムの提供に努めていくことを明らかにしています。
IBMの半導体事業におけるファブレス化
こうしてみると、IBMはこれまで自社で抱えてきた半導体製造を社外へ売却し、設計を行う、いわゆるファブレス化を半導体の部分で推進しつつ、半導体の基礎研究開発とサーバシステムの研究開発、製造といった、ハイエンドサーバにおいて差別化要因として重要なところを自社で残すという選択をしたように見えます。
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