[速報]HTML5、ついにW3Cの勧告となる
W3Cは10月28日、HTML5が勧告(Recommendation)に到達したと発表しました。
W3Cが発表したプレスリリース(日本語)の冒頭を引用します。
2014年10月28日(アメリカ): ワールド・ワイド・ウェブ・コンソーシアム(W3C)は、ウェブページやウェブアプリケーションを構築する際に使用されるフォーマットHTMLの第5版であるHTML5を勧告として公開し、オープン・ウェブ・プラットフォームの礎を築きました。HTML5は、アプリケーション開発者やアプリケーション産業がこの先何年に渡って信頼するに足る、アプリケーション開発のための機能を提供します。HTML5は今や幅広いデバイスで、そして世界中のユーザが利用可能であり、かつ豊富な機能を持つアプリケーションの開発コストを削減します。
W3Cディレクターを務めるティム・バーナーズ=リーは、「ビデオやオーディオをブラウザ上で見たり、ブラウザ上で通話をすることは、今や当然の事として受け止められている」と述べています。「写真や店舗の共有、ニュースの入手、情報の検索はどこからでも、どのデバイスからでも可能にすることを期待しています。HTML5とオープン・ウェブ・プラットフォームはユーザの更なる期待に応えます。」
HTML5のこれまでの経緯
HTML5はもともと、2004年にモジラ、オペラ、アップルらの有志が集まって、当時XHTMLへと傾倒していたW3Cとは別に、アプリケーションのプラットフォームとしてHTMLを発展させていこうという動きから始まりました。
HTML5が注目され始めたのは、2009年のGoogle I/OでGoogleがHTML5への注力を明確に示したことなどがきっかけです。日本でも2010年にはHTML5について日本語で議論するW3Cのグループ「HTML5 Japanese Interest Group」がスタートし、慶應大学で100人以上が集まったHTML5に関するイベントなども開催されています。
当時は、アドビのCTOだったケビン・リンチ氏が「いつかはHTMLがFlashに取って代わるとしても、遠い将来のことだ」と発言するなど、まだHTML5に懐疑的な声も多くありました。しかしまもなくマイクロソフトがInternet Explorer 9を発表してHTML5への積極的な取り組みを表明。アドビもHTML5への取り組みを表明するなど、この時期を境にHTML5は誰の目にも明らかなほど業界の大きな流れになります。
2012年にはFacebook CEOのマーク・ザッカーバーグ氏が「HTML5に賭けたのは失敗」と発言して物議を醸すこともありましたが、その後HTML5は仕様の面でも実装の面でもほぼ順調に進展しました。いまや主要なWebブラウザだけではなくスマートフォンやスマートデバイスなどにも実装され、あるいは電子書籍の国際標準であるEPUB 3の基盤技術としても参照されるなど、社会的にも重要さを益してきています。
W3CによってHTML5が勧告になったことで何か大きな変化が起きるわけではありませんが、重要な技術が長期間の議論の末に安定した仕様として1つの節目を迎えたことは、IT業界や社会全体にとって誇れる大きな成果だといえるでしょう。
関連記事
- 2010年9月13日:HTML5がラストコール(最終草案)へ、工程表を発表
- 2012年4月25日:HTML5に続く“HTML.next”へ取り組むための体制変更へ。W3CのHTMLワーキンググループ
- 2012年9月21日:HTML5勧告へのロードマップ。HTML 5.0とHTML 5.1に分けて、まずは2014年内を目指すとの案をW3Cが発表
- 2012年12月18日:W3CがHTML5仕様策定完了、勧告候補に。HTML5.1のドラフトも発表
- 2013年1月15日:なぜHixieはいつも“ノー”と言い続けるのか? HTML5仕様のキーパーソン、Hixieへのインタビュー
- 2014年6月23日:W3CのHTML5仕様が勧告候補から最終草案へ戻り、秋には再び勧告候補へ