HP、OpenStackとCloud Foundryを中心とした新クラウド戦略「HP Helion」を発表。1000億円を投入し、IaaS/PaaSも提供へ
米ヒューレット・パッカードは「HP Helion」という新しいブランドと、このブランドで展開される新しいクラウド戦略を発表しました(プレスリリース、日本語版)
HPは「HP Helion」ブランドの下で、OpenStackをベースにしたクラウド用基盤ソフトウェアとクラウドサービス、Cloud Foundry採用のPaaS、クラウド支援サービスなどをエンタープライズ向けやサービスプロバイダーなどに向けて提供し、ハイブリッドクラウドを実現していくと説明しています。
OpenStackのディストリビューションなど提供へ
今回の発表では、以下の新製品やサービスが新たに拡充されました。
HP Helion OpenStack Community Edition
HPによるOpenStackのディストリビューション。最新のIcehouseベースになっており、無償で利用可能。今年の後半にはエンタープライズ向け、サービスプロバイダー向けエディションもリリース予定。
HP Helion Development Platform
Cloud FoundryをベースとしたPaaS。IT部門や開発者に対してオープンな環境の開発環境からデプロイ環境までを提供。今年後半にプレビュー版が登場予定。
HP Helion OpenStack Professional Services
HPによるOpenStackベースのクラウドの実装と運用支援サービス。
OpenStack Technology Indemnification Program
オープンソースのOpenStack導入によって発生する可能性がある知的財産に関する訴訟リスクなどを緩和するプログラム
HPはまた、このクラウド戦略の実行にあたり1ビリオンドル(約1000億円)を投資予定です。
HPとIBMの戦略は似ているが
OpenStackとCloud Foundryの積極的な採用、そして1000億円規模の投資は、IBMのクラウド戦略におけるOpenStackとCloud Foundry(によるBlueMix)の推進および1月に発表したデータセンターへの1200億円の投資と非常に似ています。
しかしIBMはx86サーバ事業をレノボに売却し、SoftLayerを中心としたパブリッククラウドの展開へと大きく軸足を移したのに対し、HPは引き続きx86サーバへの投資を継続するだけでなく超高密度サーバ「HP Moonshot」の開発など、サーバ、ストレージ、ネットワークを含むクラウドの物理層の構築にも積極的です。
また、IBMはOpenStackを推進しつつもSoftLayer自身はOpenStackベースではなく、一方のHPはパブリッククラウドサービスをOpenStackベースで構築しようとしている点もやや異なっているように見えます。
とはいえ、HPによるエンタープライズ向けとプロバイダー向けのOpenStackディストリビューションのリリースやOpenStack、Cloud Foundryベースのクラウドサービスの登場はいずれも今年後半に登場予定。HPがどれだけパブリッククラウド市場へ攻め込もうとしているのかも含め、戦略の具体的な姿を見るにはもう少し待たなくてはなりません。
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